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エイカレ2024 フォーラムレポート前編
11年で参加者1014名!
「変革体験」がエイジョを短期で成長させる

 

女性管理職登用、DE&Iが進む中でも、企業営業部門の多くがまだ女性リーダー人材の育成に悩みを抱えています。
「本人の意識醸成」と「働き方の改革」が今なお、課題として残っているからです。
 
新世代エイジョカレッジ(エイカレ)は、固定観念を打破して変革を生み出す「変革体験型」リーダー育成プログラムとして2014年にスタート。これまでの参加者はのべ165社、1014を超えています。
営業のアタリマエを変えた「なりキリンママ」「転居しない転勤」「マネージャー体験」など、エイカレ発の変革が社内に展開される例も生み出しました。
 

【これまでの実証実験、受賞者インタビューはこちらから】
「なりキリンママ」は今 キリングループ
「あたらしい転勤」はじめました 三菱地所プロパティマネジメント
女性に潜むアンコンシャス・バイアス 体験型研修でガラスの天井を破壊 三井住友海上火災保険
マネジャー2人体制で管理職への心理的ハードルも低下 中外製薬

 
11年目を迎えたエイカレ2024は、9月にキックオフとなるフォーラムを2日間にわたって開催。
テーマは「今こそ私たちが営業のアタリマエをアップデートする」です。
 
このフォーラムで、参加者は、まず、異業種他社からの刺激を受けながら自身のライフキャリアデザインに取り組み、その後、それを実現させるべく、各企業チームに分かれて変革実証実験の準備を始めていきます。
エイジョの熱量が上がっていくのを目の当たりにすると、今後への期待も高まります。
 

エイカレ2024参加者の皆さん

 
とは言え、ここから約半年間のプロジェクト期間は、決して楽なものではありません。
エイカレに参加を決め、エイジョを支援している人事部門、営業部門の方々はどんな思いを持たれているのでしょうか。
 
長年ご参加いただいている企業様、初参加の企業様にインタビューさせていただき、エイカレ参加理由や参加後に企業やエイジョたちがどう変わっていったのかについて伺いました。
 

フォーラム1日目 異業種のグループでワークに取り組む

 

<参加企業の声1>
自ら考え、動き、開拓する力が身につく
ファイナリスト選出最多企業の人事に聞いた、エイジョのめざましい変化

 

日本イーライリリー株式会社 (2017年より参加)
人事本部
ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン推進
コーディネーター
安原 菜津子 様

 

エイジョには思う存分爆発してほしい 
周囲も驚く「本気度」と「勝ちたい」気持ち

 
日本イーライリリーは、2017年からエイカレに参加しています。最初は交流のある企業の人事部の方に教えていただいたのがきっかけでしたが、営業に特化した取り組みというのはそれまで聞いたことがなく、とても面白いと思いました。
 
当時、当社には、営業で働く女性たちがある程度の年月で辞めてしまうという傾向がありました。その現状を変えるための策として参加を打診したところ、まずは東京限定の指名制で参加することになったのです。
 
最初は、「営業の女性たちに勉強してもらう」という感覚があったかもしれませんが、エイカレは、1度きりの学びではなく、数か月の時間をかけて取り組む実証実験プロジェクトです。自分たちの手で「会社の『アタリマエ』を壊してみる」という試みであり、しかも、コンテストでもある。
そうなると、営業の気質とも言えるのでしょうか、エイジョに「勝ちたい」という意識が強く働き、より本気で取り組むようになりました。人事部門もその本気度を見て「これはすごい」と驚きつつ、全力でサポート体制を作ってきた形です。
 
ここ数年は参加者を立候補制にし、全国から募っています。半年前から告知を始めますが、希望者が多数いるので、スライドやビデオなどで意気込みを送ってもらい、選出するようにしています。
 

フォーラムの休憩時間。エイジョたちにエールを送る安原さん(写真左から3番目)「『自由にやっていいのよ』と声をかけました」

 

エイカレ参加者が本当に会社を変える力になる

 
参加したエイジョたちの個々の成長は著しいものがあります。
そもそも、当社は業界的にコンプライアンスが厳しいこともあり、「枠を出てはいけない」という意識を持ちがちです。そうすると「もっと気軽に意見を出してほしい」という場面でも、なかなか枠を出るような意見が出てこなくなります。
ところが、エイカレを経験したエイジョたちは違います。固定観念にとらわれない斬新な意見が出るだけでなく、実際に動かしていく力も備わってきています。
 

自分たちが感じる課題、壊したい「アタリマエ」を書き出す

 
一人ひとりがエイカレを通じて「当たり前を疑い、壊し、新たな価値観を生み出す力」を得ていますし、その上に経験を積んでいくことで、未来の管理職、役員候補が育っています。エイカレで得た個々の体験が、本当に会社を変える力になっていくのを感じています。
 

 
2024年度は参加希望が多く、当社だけで10名・2チームの参加になりました。色々な事業領域からの参加ということもあり、思う存分にやって、爆発してほしいという気持ちでいます。私たちも全力でサポートしていきます。
 

 

【エイカレ2022、審査員特別賞を獲得した日本イーライリリー「サステナリリー」のチームリーダー、平手知子さんのインタビュー記事はこちらから】
営業は「変えられない」から「変えられる」へ。エイカレを通じて起きた3つの変化
 変化1 「チームの力」でゼロから1を生み出し、仕事への向き合い方が変わった
 変化2 「論より証拠」 実証実験で顧客の心を動かし、新たな価値を創造できた
 変化3 「当たり前」からの脱却 視座高く、前向きに営業を頑張れるようになった


<参加企業の声2>
DE&Iは人事が働きかけるだけでは進まない
エイジョが自ら「楽しく働く」を得る、「変える」機会にしたい

 

ネスレ日本株式会社 (2024年初参加)
ネスレ ヘルスサイエンスカンパニー
人事・広報統括部 部長
皆川 泰範 様

 
営業職に限らず、女性活躍推進などのテーマをあげてDE&Iを進めてきているものの、女性管理職の割合が増えていないなど、実質的な結果がなかなか伴わないというのが現状です。このまま行くと、何年経っても変わらないという危機意識がありました。
 
そんな時、かねてからお付き合いのある企業様からエイカレについて聞き、エイカレサミット2023にオンラインで参加しました。それが、非常に面白かったのです。女性たちが自らの手で会社や働き方を変えられる機会を得ることによって、意識が変わっていくのではないかと思いました。
 

 

 
今回、当社からは、全国の一部の事業部から、あわせて5人のエイジョが参加していますが、フォーラムの2日間を陪席して、これがエイカレの肝だと感じました。
参加者がそれぞれのライフキャリアデザインを描き、営業職やキャリアへの悩みについてロールモデルからアドバイスをもらえるなど、充実したプログラムだったと思います。異業種交流からの気づきも深かったようで、エイジョの表情が期待と自信に満ちたものに変わっていくのが印象的でした。
 
女性管理職への道は、まず楽しく働けていて、良い人生があって、その先に開けるのではないでしょうか。彼女たちの働き方への意識が変わっていくことに、期待しています。

 

フォーラムのランチタイム。エイジョたちと話す皆川さん(写真右)

 


<参加企業の声3>
女性が働きやすい会社は、すべての人が働きやすい会社
パターン化された業界の「アタリマエ」を払拭する起爆剤に

 

商船三井ロジスティクス株式会社  2024年初参加
人事部 副部長
阿部 圭子 様

 
元々、エイカレの事務局であるチェンジウェーブグループの女性リーダー育成研修や講演などを見る機会があり、共感を持っていました。
今回は会社が大きく変わるタイミングでもあり、起爆剤になればと思って参加しました。
 
当社は比較的女性社員も多く、女性管理職も多いのですが、慣例的に女性がサポート的な部門でキャリアを構築していくことが多いのです。それではあまりにもったいないですし、DE&Iも進みません。女性が働きやすい会社は、すべての人が働きやすい会社でもありますから、まずは女性の働き方を変えていくことが重要だと考えています。
 

 
今回エイカレに参加しているのは、営業をトップで走っているメンバーと営業戦略部のメンバーという組み合わせで、非常に面白い企画になるのではないかと感じています。フォーラムでは、メンバーが皆、とても楽しそうに取り組んでいるのを見ましたので、我々もしっかりサポートしていけたらと思っています。
 
保守的な部分がある業界でもあり、パターン化されているものも多い業界ですが、まずは彼女たちの手で「営業のアタリマエ」を壊し、新たに生み出していってもらえたらいい。そう期待しています。
 

 

ライフキャリアデザインシートを手に

 


古き「アタリマエ」に挑み続けた11年。
エイジョを取り巻く環境は大きく変化し、
人生と仕事の両立を考えるのが「アタリマエ」の時代に

 
エイカレでは、実証実験を突破口に、女性リーダー育成と営業変革に挑んできました。
では、この11年で何が変わったのでしょうか。
事務局を務める、株式会社チェンジウェーブグループの佐々木裕子に聞きます。
 

株式会社チェンジウェーブグループ
代表取締役社長
佐々木 裕子

 

 

女性営業が「いない」から「いる」時代へ

 
エイカレをスタートして11年。エイジョを取り巻く環境は大きく変化しました。
11年前はまだ「女性の営業は一人もいない」という企業・部署もあったのですが、今は、女性営業はどの企業にも「いる」という認識になっています。これは大きな変化です。
エイジョが営業を続けてキャリアアップを目指すことや、「キャリアとライフを両立させる」ことを考えるのも、当たり前になってきていると言えます。
 
昔、日本の企業の多くに存在した、男性は仕事優先、女性は家庭優先、という「アタリマエ」は確実に変わってきているのですが、その根底にあるアンコンシャス・バイアスは根強く、違った課題も見えてきています。
 

 

女性たちの変化 「働くことを前提とした」ライフとの両立を意識

 
ひとつは、ベースとなっている固定観念は変化しきれていないということ。
 
エイカレ参加者が未来を描くとき、多くの方が「家族の絵を描く」というのは、実は、以前から変わっていません。今も昔も、ライフは大切なんです。
 
ただ、大きく変わったのは、その「未来の家族との生活」が現実のものとなった時に、「私は(原則として)稼いでいる」「キャリアを維持している」ということを、女性たちが自覚的に意識するようになってきているということです。
 

 

企業側の変化をどのように加速するか

 
もう一つの課題は、評価や登用基準など、企業・社会といった受け皿の変化がまだ十分でないということです。
 
現在、管理職の女性は少しずつ増え、価値観も多様になってきました。候補となる層もずいぶん増えてきています。そうした中で、営業の評価基準をどう変えていくのか。長時間働くことが前提、といった暗黙の登用要件があると、女性はもちろん、多様な人材で成長するチームを作ることは難しくなります。今後そうした基準をどうアップデートするのかなど、ベースの変革が女性活躍、DE&I推進のカギです。
 
エイカレに参加してくださっている企業は、管理職だけでなく、それ以上、経営幹部を育てたいという意思を明確に持たれていると感じますし、実際そうしたご相談をいただくことも多いですが、企業の現状というところでは、較差は大きくなってきています。
政府が定めた「2030年までに、指導的地位に占める女性の割合が30%になるように」という目標を超え、50%を目指す企業がある一方で、30%までの道のりをまだまだ遠いと感じている企業もあります。「課長職まではなんとか増えてきているが、役員候補が全く見えない」と頭を抱える企業もあります。
 
もちろん、数値だけで語れるわけではありませんが、エイジョ一人ひとりがキャリアとライフの両立を意識し、実際に、マネジメント側でも活躍するようになってきたからこそ、次は、企業側の変化どう広げていくのかーー。
営業部門に留まらず、DE&Iを進め、多様性を本当に力に変えていくためには、この本質的な課題に取り組む必要があると考えています。
 
その一歩としてのエイカレが、皆さんに役立てていただけるよう、今年も事務局一同、頑張っていきたいと思います。
 

エイカレ2024参加の皆さん

 


エイカレ2024の集大成、サミット(最終発表会)は2025年2月21日を予定しています。
サミットには、今期ご参加企業のほか、異業種プログラムへの参加を検討されている企業様もご参加いただけます。以下のフォームよりお問い合わせください。

昨年のサミットについて詳しくはこちら 
エイカレサミット2023
お問い合わせはこちら 
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