エイカレへのメッセージ
佐藤 博樹 様
東京大学名誉教授、中央大学ビジネススクール・フェロー
WLB&多様性推進・研究プロジェクト・共同代表
営業職能では、他の職場以上に、日本では男性が中核的な仕事を担い、女性は営業事務など男女間の職域分離が根強い。
もちろん、最近は、企業における女性の活躍の場の拡大の取組が行われ、第一線の営業を担う女性も増加しつつある。しかし、女性の営業職が増えつつあるものの、営業職能の働き方自体は従来の男性メインの時代のままといえる。そのため、結婚や出産というライフイベントに直面し、女性が、従来の男性と同様の働き方ができなくなると、就業継続が難しくなったり、第一線の営業から外れざるを得ないような事態が生じている。こうした現状にあって、新世代エイジョカレッジは、営業職の女性が、自分たち自身で、新しい営業の働き方や顧客価値の創造を目指す取り組みであり、高く評価できる。
営業女性の取り組みが、営業職能だけでなく、これまで男性が主に担ってきた日本の働き方の改革につなげることを期待しています。
太田 彩子 様
一般社団法人 営業部女子課の会 代表理事 兼 Founder
株式会社ベレフェクト 代表取締役
私も同じ営業女子出身です。2009年に立ち上げた「営業部女子課」では、「営業女子そのものの数を増やす」「営業女子になっても辞めない社会を創る」「営業力を持つ女子を増やす」という3つのゴールを掲げています。営業女子の数が増えれば、顧客に提案する付加価値も多様なものになり、イノベーションが生まれます。営業女子活躍が進めば、多様なロールモデルも誕生します。同じ志を持つエイジョの皆さんと、真の営業女子活躍に向けて進んでいきたいです!
藤澤 秀昭 様
経済産業省 経済産業政策局
元経済社会政策室長
<エイジョカレッジ サミット2016 審査員>
経産省では、「ダイバーシティ経営」を推進しています。それは、ダイバーシティ経営が、単なる「コスト」ではなく、企業を強くする「競争力の源泉」だと確信しているからです。その実現には、「誰かのために」という発想に止まらず、「自分がどう変われるか」へのチャレンジが不可欠です。エイジョカレッジの取組からは、そんな「自己変革」を促す様々なアイディアが生まれています。営業現場にとって、そして日本企業にとっての「当たり前」を乗り越えていく、そんな役割を期待しています!
青野 慶久 様
サイボウズ株式会社
代表取締役社長
<エイジョカレッジ サミット2016 審査員・ご講演>
働き方改革の鬼門、「営業女子」。属人的になりがちな営業業務をいかに変革するのか。エイカレの場で深く議論して課題を設定し、責任者を引っ張り出してコミットさせ、思う存分変革を進めていきましょう。今や日本は労働力不足。転職も辞さない強気の姿勢が必要です。属人化した営業を打破する鍵は、情報共有と役割分担。女性も男性も未婚者も既婚者も若者も高齢者も、それぞれの個性を活かせる「チーム営業」にすることが大事です。そして誰もが楽しく営業できる社会へ。みなさんの活躍に期待しております!
志賀 俊之 様
日産自動車株式会社 取締役副会長
<エイジョカレッジ2014 ご講演>
企業としてなぜダイバーシティが必要なのでしょうか。3つあると思っています。1つ目は多様性を受け入れる企業文化によって、企業の変革を進めていくという点。2つ目は女性の視点を活かし、サービスや商品開発に活かしていく点。3つ目は女性の能力を活用するという点。
日産自動車は1999年にルノーとアライアンスを結びました。それまでの日産は男性社会、日本人だけで、みんな同じ頭で議論していました。このようなモノカルチャーだと大失敗も大成功もなく平均点がとれるのです。ところが、異質なものを入れたときに成績がすごく悪くなるケースと、すごくいいケースがある。すると、異質なものを入れたくないという思いが当然出てきます。国内において平均点で戦っている場合はいいが、海外ではそれでは勝てない。トップ成績が出る可能性で勝負しているわけです。そこで勝つには異質なものを取り入れなければならない。男性にとって、女性はもっとも身近なダイバーシティ。ファーストステップとして取り組んでいます。これが1つ目。
2つ目としては、実際の車づくりや店舗設計、作業現場の働きやすいラインを作るうえでも女性の視点は非常に活きています。日産の販売会社で、女性のCA(カーライフアドバイザーいわゆる営業)が対応した時のほうが、男性が対応したときより、男女関係なく満足度が高いという結果も出ています。
3つ目は何か。以前、「地図の読めない女、話を聞かない男」という本がヒットしました。右脳は直感的、左脳は論理的なのですが、男性はどちらかで考えている。この右脳と左脳間に脳梁という両方の脳をつなげる部分があって、女性のほうが2割くらい太い。女性は右脳と左脳の両方を使いながら会話することによってお客様が何を思っているのか、把握できるのではないかと思っています。
日産は女性のCAを2013年から2018年までに2倍にしようとしており、16年4月の新入社員のうち約4割が女性となっています。一方で、定着率は男性に比べて低く、活用と同時に定着率向上が課題だと思っています。また、日産の執行役員では、女性は1名だけ。上に行くにしたがって、パイプラインがピラミッドになっていくのはよくない。女性には男性にはない悩みが当然あるので、女性がロールモデルとして話をしながら進めていくことが大事だと思います。女性にはワークライフバランスの維持も大事だし、本人のモチベーションも大事なので、本人、上司、意識、制度インフラから包括的にアプローチしている。トップダウンだけでなく、ボトムアップによりお互いに切磋琢磨することが大事ではないでしょうか。