HOME | REPORT | エイカレ2020事例紹介 女性に潜む無意識バイアスを体験型研修で破壊する

事例紹介 
女性に潜む無意識バイアス(アンコンシャスバイアス)
体験型研修でガラスの天井を破壊 

初のオンライン開催となったエイカレ 2020は、「 Withコロナ時代の次世代型営業モデル 〜 New Normalは次世代が創る〜」というテーマを掲げ、企業で働く営業女性(エイジョ)たちが変革の実証実験に挑みました。
 
18チームがエントリーした中、大賞に輝いたのは、三井住友海上火災保険株式会社の #マネチャレ!チーム。
営業女性自身に潜む「私にマネジメント職は無理」という無意識バイアス(アンコンシャスバイアス)を払拭する仕組み作りに挑みました。
変革創出の実現に辿り着いた経緯と、その舞台裏をご紹介します。
 
#マネチャレチーム

大賞に輝いた#マネチャレ!チーム

 

「社内変革なんて考えたことがなかった」

 
『社内変革のための実証実験を行う異業種交流型の研修』との案内を受けたエイジョたち。エイカレに対する第一印象は、「実証実験って何?」「全くイメージできない」というものだったそうです。
#マネチャレ!チームのメンバーは当時をこう振り返ります。
「社内変革なんて考えたこともありませんでした」
「でも、同じ営業で、扱う商材や業界は違う、という方たちと交流ができるのはとても魅力的な機会かなと感じました」
 
実際、エイカレのキックオフイベント「フォーラム」では様々な交流やインプットが得られ、刺激的で楽しい時間だったそうです。
「やる気はあるけど続けられるか不安…」という感覚を、他社のエイジョと共有できたことが、絶大な安心感とエネルギーにつながったとも話してくれました。
 
しかし、その後の実証実験については「スケジュールを考えると、不安しかなかった」とのこと。
確かに、2020年度は新型コロナ感染症の影響もあり、実証実験にかけられる期間は準備も含めて約3か月間しかありませんでした。(例年は4か月程度)
しかし、それが後押しとなったのか、彼女たちはフォーラム後すぐにグループLINEWORKSを立ち上げ、翌朝7時からアイデアを交換し始めていたそうです。
 
 

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制度は整っている。ではなぜ女性管理職はもっと増えないのか。
真の理由に迫った実証実験

 
初期の段階から、彼女たちには「企業営業部門の女性管理職比率が低く、保険金お支払い部門と25倍の差がある」という課題を扱いたいという方向性が見えていました。しかし、改めて社内の制度を調べていく過程で、すでに充実した人事制度や研修があると気づきます。
 
「充実した制度があるのにも関わらず解決できてないことを、どうやって変えるの?」
 
課題は掴んでいるのにHowが見つからない日々の中で、「最終発表までに何も用意できず大失敗する」という悪夢を見てしまうエイジョも。追い込まれる中で「降りてきた」アイデアが「マネージャー体験」でした。
 
「私たち女性は、身近なロールモデルがいないと、なかなか自分ごととして管理職のイメージが持てないのかなと感じます。だから、試しにやってみるという経験があれば、私たち自身の無意識バイアス(アンコンシャスバイアス)の払拭に効くのではと考えました」
 

三井住友海上火災保険株式会社 宇都宮重忠氏

三井住友海上火災保険株式会社
東京企業第一本部 企画・営業推進担当 宇都宮 重忠 氏

彼女たちをサポートした東京企業第一本部 部長の宇都宮さんは、「一番驚いたのは、エイジョたちが管理職に対して、まるで3K(きつい・危険・汚い)のようにすごくネガティブな職種イメージを持っていたということでした。
いや、管理職って意外と楽しいよ?と言ったときに、鳩が豆鉄砲を食らったような顔をしたので、彼女たちの認識がいかに自分と異なるのかを知り、驚きました」と話してくださいました。
 
 「自分自身が管理職になるときは、ジョブローテーションの中で、なんとなく、そろそろ自分の番も来るかなというイメージを持っていたような気がします。また、上司や管理職の先輩達と仕事をする際に、自分が管理職になったらこういう関わりは真似したい、あんな関わり方は気をつけよう、といった視点で見ていた記憶があります」と振り返る宇都宮さん。
 
管理職の姿は多く見ていても、異性の上司はロールモデルとして意識しにくいことがあるのかもしれません。エイジョたちは「現状、管理職に男性が多いことが無意識のバイアスとなり、次世代にもそれが遺伝してしまう構造がある」と分析、その打開策として「マネージャー体験型研修」の実証実験を提案したのです。

 
 
他部署を巻き込んでいくことで深まった
社内の人脈と絆

 
「非管理職のエイジョが、他部署の管理職(ライン課長)の仕事を 4日間体験する」というマネージャー体験チャレンジ。
ただでさえ忙しく日々の数字を追いかける営業部門において、他部署のメンバーを管理職として「体験」させることは、最初から歓迎されたわけではありませんでした。
 
#マネチャレとは

 
しかし、 エイジョたちが覚悟を決めて上層部に頼み込み、力を借りながら進めたことが周囲を動かしました。
ボトムアップで生まれた等身大の試みであったこと、実は、 女性に限らず男性でも、似たような不安や課題感を抱えている人がいたことも共感や応援が得られるようになった一因でした。
 

 「マネージャーチャレンジ」
体験することの真の価値は「言語化できないこと」にあった

管理職の仕事を自分ごととしてイメージするためには、引き継ぎ資料や詳細な業務仕様書のようなものがあっても足りないのでしょうか?
エイジョからはこんな答えが返ってきました。
 
「日々の業務の中で見てはいるので、管理職がどんな仕事をしているのか、ある程度は自分たちでも知っていると思います。でも、実際に体験してわかったのは、管理職として判断を迫られた時に、自分がどのように思考を動かし、どんな視座で物事を考える必要性が生じるのかということ。
 
また、メンバーや関係部署の人との関わり・配慮の仕方などは、言語化しようとしてもできないものだと痛感しました。
百聞は一見に如かずと言いますが、これらは本当に体験してみなければ分からないことでした。
 
今回の実証実験を通じて、言語化できないことを体験し、たとえロールモデルと感じられる人が目の前に居なくても、自分ごととして管理職の仕事を捉えることができるようになると証明できたと思います」
 
このほか、管理職と一口に言っても各部署に特徴があり、仕事の進め方にも個性があると知ったのも大きな気づきでした。「自分らしいやり方でいいんだ」と思えたことで、管理職に対する心のハードルが下がったそうです。 


ファイナル・プレゼンテーションの場であるエイカレサミットでは、審査員から「たった 4日間の体験で足りますか?」という質問がありました。
 
実際にマネチャレを体験したエイジョによると、
「これまで働いてきた中で、こんなに多く上層部の方と接する機会はありませんでした。毎日吐きそうになるほど緊張し、悪夢にもうなされたのですが、マネージャーの視点を掴む本当に貴重な経験をすることができたと感じます」とのこと。
4日間は、決して短すぎるものではなかったようです。
 
#マネチャレチーム2
ファイナルプレゼン資料より

 
#マネチャレ!チームの実証実験は、その後社内に広がりを見せ、役員などさらに上位の役職や営業部を越えた制度化へ向けて進んでいます。業界や職種に関わらず展開できる試みだとして、他社やメディアからも注目を集めています。
 
 

改めて振り返るエイカレという場の価値
全力が出せたのは他社のエイジョの存在が大きかった

 
自分たちが感じている負の感情は、自分の課題なのか、組織の課題なのか、それとも業界の課題なのか。自組織だけで見ていては気づかない、 これまでの「当たり前」を崩すきっかけとなるのも、異業種の刺激を受けるエイカレならではです。
 
「営業の根っこには負けず嫌いがあって、数字で結果を作っていくことに心を燃やせるんです。他社のエイジョがいたからこそ、絶対に負けたくないと頑張れたのかも。」
 
三井住友海上火災保険株式会社様 #マネチャレチーム関係者方

 
「私が変革なんて…」と思っていた営業女性たちが、たった数か月の間にとてつもない破壊力を秘めた変革の打ち手を創出する場。
彼女たちの頑張り、周囲のサポート、企業の枠を超えた繋がりが、エイカレという変革の仕掛けをさらに進化させています。
 
 

2021年度のエイカレは9月にキックオフの予定です。
詳しくは事務局までお問い合わせください。