SUMMIT2022 REPORT
エイカレでの実証実験を経てエイジョはどう変わったか
SUMMIT2022 大賞チーム インタビュー
「大企業でも、自分たちの力で変えられるものがある」
考え抜き、やり遂げた経験は今後の力に
営業職女性のさらなる活躍を異業種で目指す「新世代エイジョカレッジ(エイカレ)」。
エイカレでは、各企業から選出された営業の女性が4~5名単位のチームで参加し、自社の課題や営業の「当たり前」を壊す実証実験を実施。実験結果をもとに「新しい営業」を発表しています。
2022年度に大賞を受賞したのは、中外製薬株式会社の「チームFM」です。
チームFMは「マネジャー2人体制」という実証実験を実施し、管理職に対する心理的・スキル的なハードルを下げることに取り組みました。審査員からは「管理職の働き方という大事なテーマを正面から取り上げた」「次世代人材の育成、営業女性のキャリア構築にとっても大変意義がある」などとして高く評価されました。
エイカレ2022・実証実験、審査員コメントについてはこちらから
https://eijyo.com/report/summit2022.html
エイカレ・サミット2022はオンラインで実施したため、後日改めて、中外製薬様にて授賞式を行いました。
本レポートではその様子を交え、チームFMメンバーのインタビューをお届けします。
中外製薬株式会社「チームFM」 チームメンバー
宮城・山形支店 原口 歩美さん
宮城・山形支店 武 佳奈子さん
長野・山梨支店 田頭 沙也加さん
兵庫支店 小川 優さん
(写真、左から 所属は取材当時)
「結果的に、参加してよかった」「できない、と思っていた自分を変えた」
――エイカレにはどんな気持ちで参加されましたか?
田頭
実は3年ほど前から『やってみたら?』と声を掛けてもらっていましたが、仕事と両立できる自信がなかったんです。でも、仕事に慣れてきて『今年はいけるかも』と思えたので思い切って参加しました。
結果的には、「私はこれからもMRを継続するのか」ということを初めて本気で考える機会になりました。今は業務の都合で夫と別に住んでいますが、いつ一緒に住むのか、など、ライフプランに当てはめて考えていって……すべてを自分ごととして考えられた良い経験だったと思っています。
小川
私は、上司からの推薦でした。何をするのか全く知らず、気軽に手を挙げて、後からこんなに大変な取り組みだったと知りました…。しかし、エイカレを通じて、一つのことをやり抜く経験ができ、結果的には参加できて良かったと思っています!
原口
私も参加期間中は人生最大に余裕のない時期だったかもしれません。でも、終わってみると参加して本当に良かったです。
日頃から弊社は女性に優しい会社だと感じてはいましたが、それでも実際に自分が今後、MRを続けながら子育てができるのか、という不安を漠然と抱えていました。モチベーションの持って行き場がない時期でもあったように思います。
でも、エイカレに参加したことで、意識が変わりました。社長や本部長が女性の働き方やキャリアについて前向きに考えてくれていることも肌で実感し、モチベーションアップに繋がりました。
武
私は、2021年度に大賞を受賞した当社のチームを見たのがきっかけです。そのチームのメンバーに子どもが3人いるママがいて、『子どもがいてもできるんだ』と思いました。私も育児中で余裕がない毎日を過ごしていましたが、『できないと思っていた自分を変えたい』という気持ちで手を挙げました。
社内連携で生み出した顧客価値 管理職への心理的ハードルも低下
―実証実験のテーマ「フレキシブル マネジャー(FM)」が誕生した経緯を教えてください。
武
まず、各支店で男女約70名にアンケートを取りました。『業界の壊したい当たり前はありますか?』『顧客に提供したいものは何ですか』『気分が上がることは何ですか』の3つの質問をし、出てきた答えを参考にして考えました。
小川
巻き込みという点で言うと、周囲には割と最初から『相談』という形で話をしていました。アドバイスをもらいながら、実験に参加していただいたような流れです。会社側には実験内容を伝えて許可を得て、上の人から順番に交渉していきました。
―実験はどのように進めましたか?FMになっていただく方を決め、実際に動いてもらう、というのは大変だったと思いますが…。
武
ライン長がどんな業務をしているのか、現場のMRにはなかなかわからないこともあったので、まず『棚卸し』として全部書き出してもらいました。その中から、ライン長しかできない業務を省き『FMの成長につながる』と思えるような内容を詰めました。そして最終的に『MR同行』、『会議の運営』『講演会のマネジメント』の3つをFMの担当業務として決めました。
田頭
FM対象者は上司が選ぶのではなく、現場からの投票、MRたちの360°評価で選出しました。ご本人も『選ばれた』という意識からか『こういうときは、どういう動きをしようか』などと随時連携を取ってくださり、モチベーション高く取り組んでくださいました。
――実験の成果についてはどう感じていらっしゃいますか?
田頭
講演会や会議の運営をFMが担当したのですが、ライン長以外が担当することでチーム全体の効率化が進んだり、やり方を再考したりする機会になったと思います。
原口
エイカレ2022のテーマは『顧客価値の創造』でしたので、顧客のニーズを知る、聞き取るということが私たちの一番の目標でした。
『これまで捉えきれなかった顧客のニーズをしっかり聞き取れた』という声が多かったので、成果はあったと思います。
――貴社の事務局はどのように関わられたのでしょうか。
佐藤
基本的には「携わらない」というスタンスでいます。そこがエイカレの醍醐味だと思っているからです。何かうまくいかないことがあっても、失敗しても、それを体験することが研修。事務局がネゴシエーションしては意味がないので、自主性を重んじていました。
村田
そうですね、本人たちがやりたいことをやるのが第一です。もちろん、手伝えることがあれば、頼ってもらう。『それだったらいい人がいるよ』とか、紹介したり、相談に乗ったりはしますが、基本はメンバーの自主性に任せています。
佐藤
正直、最初は『このチームは大丈夫かな』と思う面もありました。なんとなく収まりやすいところに留めようとする雰囲気があったので。でも、自分たちで紆余曲折しながら進めていくうちにスイッチが入り、大きく変化していきましたし、予選を通過した時の彼女たちの熱量を見て『あ、これは行けるかな』と感じました。
写真:中外製薬様で実施した授賞式にて
事務局 人事部 ダイバーシティ推進部 佐藤華英子さん(右)
営業本部 営業人財マネジメント 村田英行さん(左)
自分の思い込みに気づき、崩したことで 意識も働き方も変わった
――エイカレ参加を通じて、ご自身にはどんな変化がありましたか?
小川
他支店のメンバーとのつながりができて、関西(自分のいる支店)の当たり前が他の支店の当たり前ではないということに気づけました。
また、これまでは顧客に対して『これは聞いてもダメだろうな』と先入観を持ち、聞いていないことがあったのですが、この企画を通じて話をしたら、先生たちが本気で答えてくれることも多くて……。自分から勝手に閉じていた部分に気づいてハッとしました。
武
そうした点では、実証実験から見えてきた顧客(先生方)のニーズを具体的に意識するようになったので、働き方が変わったと思います。
また、今回、私たちをたくさんの人が助けてくださり、協力的に動いてくださいましたので、これから他の方が何かやろうとしたら、協力していきたいです。
田頭
確かに『大きな企業の中にいても、ルールを自分たちで作っていける』と実感できた経験は大きかったです。
自分たちが変えられる未来 やり遂げた経験は今後に生きる
――これからエイカレに参加される方へのメッセージをお願いします。
小川
今回は、女性のマネジャーを増やすことをテーマにして実証実験をしましたが、実験前は、「自分たちの力で変えていくのは難しい」という気持ちがありました。でも、サミットの後、社長や本部長と直接話す機会をいただき、実験もエリアごとにブラッシュアップして続行したことで、実際に社内のシステムを変えるきっかけになりました。
一つのことを掘り下げて考え尽くして、やり遂げた経験は必ず今後に生きると思いますから、今後参加される方にもぜひ頑張ってほしいです!
中外製薬・チームFMの皆さん、ありがとうございました!