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EIJYO COLLEGE SUMMIT 2024 開催レポート
「今こそ私たちが、営業のアタリマエをアップデートする」

 
営業現場からの変革と女性リーダー人材の育成に取り組んできた「新世代エイジョカレッジ(エイカレ)」は、2024年度をもってフィナーレを迎えました。
11年の集大成でもある「エイカレサミット2024」は、2025年2月21日、東京・神田にて開催され、「変化したこと」と「今なお残る課題」を改めて実感する機会となりました。
 
当日の様子をレポートします。
 
今期のテーマは
 
「今こそ私たちが、営業のアタリマエをアップデートする」
 
11年間にわたり、営業職の女性活躍とボトムアップの変革を支援してきたエイカレ。その集大成である「エイカレサミット2024」は華やかに始まりました。
 
 

 


 

経済産業省から応援メッセージ

 
エイカレサミット2024は、経済産業省の後援を受けています。開会にあたり、経済産業政策局 経済社会政策室長・相馬知子氏からの応援メッセージが披露されました。
 
 

相馬様ビデオメッセージ写真
 

日本経済に訪れた潮目の変化

 
相馬 「昨年度の国内投資は30年ぶりとなる100兆円に達するなど、日本経済には大きな潮目の変化が生じています。
グリーントランスフォーメーションやデジタルトランスフォーメーションなどに見られるように、社会課題の解決を成長の源泉と捉え、国内投資をしっかりと後押しすることで成長型経済を目指していくことが重要と言えます。
その鍵となるのがイノベーションと、それを担うことができる人材の育成です。経済産業省では、企業の経営層における女性活躍をさらに促進するための取り組みを継続してまいります。
 
 

エイジョの活躍がエイジョの活力に

 
相馬 「今回エイジョカレッジに挑戦された皆様は、半年間、様々な困難を乗り越えられたと思います。 実証実験を進める中で、上司や社内の方々から様々な意見を受けられたのではないでしょうか?自社や業界を巻き込んでいく皆様のさらなるご活躍をお祈りすると共に、皆様の存在が、全国のエイジョの皆様のロールモデルとなり、営業を目指す女性が増えていくことを期待しています。」

 

エイカレ2024 ファイナリスト プレゼンテーション

5チームによる最終プレゼンと結果発表を行いました

 
サミットの山場はファイナルプレゼンテーションです。事前審査を勝ち抜いた5チームがプレゼンテーションを行い、審査員とオーディエンスの投票によって、大賞と審査員特別賞が決定しました。
 
 
 


 

「孤独なジェネラリスト」から「キョウリョク(協力/強力)なスペシャリスト集団へ」
営業担当者とエキスパートをつなぐ施策として、
社内実践講座の開催、及び、専用アプリを通じた質疑応答で好循環を創出

 

商船三井ロジスティクス株式会社

チーム:Blue Link 小形真李奈さん、亀山佳奈絵さん、西出有希さん

 

 

 
既存の教育施策と人をつなぎ、知識取得の好循環を創出

 
◼️アップデートしたいこれまでの”アタリマエ”
営業メンバーには「輸送のプロフェッショナル」として幅広い分野の専門知識が求められる。しかし、営業個人が独自のやり方で情報収集・学習することがアタリマエとされてきた。
 
◼️実証実験内容
現在、営業メンバーが知識習得したいと思っている分野について調査したところ、「危険品輸送」と「インドの輸送」のニーズが高いことが判明。この2つの分野に精通したエキスパートチームを設置し、社内でオンライン実践講座を行った。その後、個別質問については専用アプリを通じて受付し、エキスパートが回答を書き込むことで、営業が日々思い悩む余分な思考時間を大幅に削減した。
一方、エキスパートは、日常的に同じような質問を受けることが多いと分かり、今後はAIチャットボットに回答を読み込ませて自動回答する仕組みを構築しようとしている。エキスパートと営業担当、双方にとって負担軽減となり、知識習得がスムーズに行えるサイクルを創出した。

 

◼️結果
実践講座に参加した営業54名のアンケートの結果、1人当たり1.4時間(1テーマあたり40分程度) 知識習得に掛かる時間を削減することができた。
また、営業がイマ習得したい知識=顧客ニーズが高いと考え、同じ「海上危険品」のテーマでウェビナーを企画したところ、3時間で500人の定員が埋まり、急遽追加開催も行うなど、顧客価値創出にも繋がった。
 
◼️苦労した点
今回のエイカレ実証実験で最も苦労したのは、チームで決めた実験内容の社内承認を得るプロセス。当初、日々忙殺されている営業担当者の目線から「営業がもっと楽できるように」という言葉を使って説明したところ、上層部から共感を得ることができなかった。
全方位で評価を得て進めるために、視座を上げもう一度1から練り上げ、前向きな言葉を選んで働きかけることを意識して取り組んだ。その結果、国内外の拠点、総勢100名を巻き込んだ全社プロジェクトを完遂することができた。
 
 

審査員講評:佐藤博樹教授
     (東京大学名誉教授、中央大学ビジネススクール・フェロー)


 
佐藤
「社内にある色々な知識はなかなか共有しにくいものですが、知識を他者と育むために、ネットワークを作っていくという試みが素晴らしかったと思います。
この取り組みは、営業だけではなく、他の部門に広げることができますし、もちろん、女性だけでなく働く人全体にとって価値ある取り組みだと思います。
会社全体という視点で見ても、一人ひとりが持っている人的資源を融合できる素晴らしい取り組みということで、審査員に評価されました。」
 

 

 

「言わない・聞かない」を壊す
〜カード1枚でヘルスワークバランスを実現する〜

 

日本イーライリリー株式会社

チーム:All right! Lilly!(矢作菜摘さん、末房沙織さん、池上美香さん、米田麻衣子さん、柳侑里さん)

 

 

体調不良について相談できる「アタリマエ」
女性営業職がイキイキと長く働き続けられる組織へ

 
◼️アップデートしたいこれまでの”アタリマエ”
女性特有の休むほどではない体調不良について、8割以上の女性営業職が上司に相談したことがない。
また、6割の管理職は部下の体調について「聞きづらい」と回答。女性特有の体調不良については、「言わない」「聞かない」がアタリマエになっている。
 
◼️実証実験内容
女性がキャリアを形成する際、結婚や出産といったライフイベントだけでなく、月経や育児での体力低下、ホルモンバランスの変化など、日常的にある見えない体の変化もハードルになりえる。調査したところ、体調不良を我慢しながら働いている女性が86%もいることが明らかに。実証実験として、オリジナルの体調スコアカードを制作した。体調の悪い日は表にチェックするだけで症状を上司に伝えることができるようにし、コミュニケーションをとりやすい機会を創出。「言わない」「聞かない」のアタリマエを壊すことができた。
 

 

◼️結果
体調スコアカードを使用した女性営業職の63%が「体調について、踏み込んで話す心理的ハードルが下がった」と回答。一方、管理職の78%が「体調について、踏み込んで聞く心理的ハードルが下がった」と回答。
実験後のアンケートでは「働き方の提案がしやすくなり、自身を理解してもらえたことでモチベーションがアップした」「今まで部下が無理して働いていたことを理解することができ、信頼関係構築につながった」というコメントがあった。
 
◼️今後の課題
短期間の実証実験の中で、参加女性のうち約6割が「ハードルが下がった」と答えたこと自体は意義深い。一方で、「言っても意味がないのでは」「評価に影響するのでは」という心配の声も残った。女性営業職がイキイキと長く働き続けられる組織に向けて、今後も仕組みだけではない、企業風土づくりを進めてみたいと考えている。
 
 

審査員講評:白河桃子氏
    (iU情報経営イノベーション専門職大学 特任教授、昭和女子大学 客員教授、
   千里金蘭大学 客員教授、ジャーナリスト)


 
白河
「企業の中には『女性のセンシティブな課題だから言えない』というだけではなく、『弱みを見せてはいけない』という風土、心理的安全性のなさがあるのではないでしょうか。このカードは、女性の体調不良に限らず、全ての社員、特に上司のみなさまに活用していただくことで、心理的安全性が確保される素晴らしい企業風土を生み出す一助になるのではないかと思います。」
 

 

コニカミノルタジャパン株式会社

チーム: 4Values(フォーバリューズ) (稲福 よしのさん、塚田 あゆりさん、目近 絢菜さん、中村 黄菜さん)

 

 

ネスレ日本株式会社

チーム: ミライスマイルチーム (古荘 春菜さん、石井 桂さん、中本 和香奈さん、矢島 奈津子さん、本庄 千尋さん)

 

 

株式会社 明治 

チーム: colorful  (林 美有紀さん、梁原 智晶さん、篠塚 めぐみさん、古森 禎子さん、北條 洋子さん)

 

 


 

特別審査員

 経済産業省 経済産業政策局 経済社会政策室長
 佐藤博樹氏 東京大学名誉教授、中央大学ビジネススクール・フェロー
 白河桃子氏 iU情報経営イノベーション専門職大学 特任教授、
       昭和女子大学 客員教授、千里金蘭大学 客員教授、ジャーナリスト
 太田彩子氏 株式会社ベレフェクト代表取締役/「営業部女子課」主宰
 浜田敬子氏 ジャーナリスト・AERA元編集長
 実行委員会代表 ㈱チェンジウェーブグループ
 今期エイカレ参加企業 各社役員 

特別講演
女性管理職候補育成における変革プロジェクトの活用、エイカレ11年を振り返って

 
チェンジウェーブグループ代表取締役社長 佐々木裕子


 
今回で閉幕するエイカレ。最後に、企画・運営を務めてきたチェンジウェーブグループ代表の佐々木裕子が講演をしました。
エイカレ発足の経緯から、これまでに実現した実証実験等についてもご紹介し、エイカレによって企業に起きた変化や 11年を通して実感したことなどについてお伝えしました。
 
(講演の内容は こちらから
 
現場からオーナーシップを持って変革に挑んでいくこと。
そのために、組織を上手に動かしていくこと。
性別、年齢等を問わず、これからのリーダー人材に求められるスキルです。
 
こうしたご要望をいただき、「新世代エイジョカレッジ」は、 2025年より「新世代 変革カレッジ」として生まれ変わり、企業のアタリマエを壊す実証実験のプラットフォームとしてまたスタートすることを決定しました !
 
その他、女性部長・役員の育成を進める「 GETプログラム」など、多様性を力に変えるためのプログラムも数々ご提供しております。
 
女性役員・部長育成プロジェクト GETプログラム 2024
 
 
この 11年間、エイカレにご参加くださった皆様、エイカレを応援してくださった皆様、本当にありがとうございました。
 
非常に濃密で、意義のある 11年間を経由して、エイカレは新形態へと進化してまいります。
エイジョの皆さんが成し遂げた実証実験がそれぞれの企業で変革の波を生み、ますます皆様がご活躍されますことを願っています。


株式会社アシックス
株式会社アシックスジャパン
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株式会社イトーキ
SMBC日興証券株式会社
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 (旧:ソフトバンクコマース&サービス)
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協和キリン株式会社

キリンビール株式会社

キリンホールディングス株式会社
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コニカミノルタジャパン株式会社
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(旧:サントリー酒類)
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(旧:JTBコーポレートセールス)

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株式会社JTBコミュニケーションデザイン

商船三井ロジスティクス株式会社
 

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株式会社スタッフサービス
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(旧:リクルートジョブズ、リクルートライフスタイル)
株式会社リクルートホールディングス
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株式会社リクルートマネジメントソリューションズ
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株式会社両備システムズ

(社名 五十音順)
 

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