エイカレ2022 フォーラムレポート前編
新たな顧客価値の創造
営業の女性が新しい営業モデルを作り、組織や社会の変革に挑む「新世代エイジョカレッジ(エイカレ)」。2014年にスタートし、今年で9年目を迎えます。
これまでの参加者は148社、917人。数多くのチャレンジから「転居を伴わない転勤」や「なりキリンママ~時間制約のある働き方で生産性向上」など、社会に一石を投じるビジネスモデルを生み出しています。
2022年度も幕開けとなるエイカレ・フォーラムが9月8・9日の2日間で開催され、11社80人が全国からオンライン上に集結しました。
濃密な2日間を通してエイジョがどう変わっていくのか、フォーラムの全容をレポートします。
自己変革の2日間がはじまる
コロナ禍で社会は劇的に変化しました。顧客の課題はますます複雑になり、営業のDXは加速。顧客と営業の双方で価値観やライフスタイルが多様化しています。
開会にあたり、エイカレの企画・運営にあたるチェンジウェーブの佐々木裕子は
「変化の時代にあって、営業は顧客に対してどのような価値を創出できるのか。営業の原点に立ち返って考え、新しいモデルの創出につなげてほしい」と参加したエイジョ(営業女性)に語りかけました。
Day1
Chapter1
本音アンケートで自分を見つめる
1日目のメイン・ファシリテーターはチェンジウェーブの鈴木富貴です。エイカレ恒例のオンライン・アンケートからスタートしました。
「営業は楽しい?」という問いに対して「やりがいを実感中」と回答したのは8人。多くのエイジョがモヤモヤや将来への不安を抱えているようです。
「この先も営業を続けたい?」の質問には、12人が「YES」と回答。「わからない」は半数以上の45人。「NO」は18人となりました。
また、「営業職として一番の悩みは?」に対しては、「全国転勤」「モチベーションの維持」「数字が厳しい」「結果が出せない」「管理職で女性がいない」「リモート営業に慣れない」「求められるスキルが増えている」「顧客ニーズが高すぎる」「後輩の教育」など、様々な本音が出ました。
このあと、異業種で編成したグループワークでは「業種は違っても、抱える悩みは共通かもしれない」という感想があがりました。中には「エイカレをキャリアアップのきっかけにしたい」という声もあり、初対面であっても、お互いの本音に触れて刺激を受けた様子です。
Chapter2
先輩の「変革ストーリー」から読み解く チャレンジのはじめ方
エイジョたちは、この日から「会社を変える」という大きな目標に向かって走り始めます。半年間にわたる長丁場。モチベーションの保ち方や仕事との両立を不安に思うのも無理はありません。そこで、このセッションでは、昨年度の参加者お二人に体験談を語っていただきました。
卒業生お二人からのコメント
パナソニック コネクト(株) 現場ソリューションカンパニー
パブリック営業本部 西日本営業2部 営業3課 1係 係長
中川 真季様(営業9年目・管理職4年目)
「上司からの推薦で参加したこともあり、実は、当初のモチベーションはあまり高かったとは言えませんでした。ただ、フォーラムで知り合った他社のエイジョが『自分が長く働くために、今、会社に足りない制度をつくりたい』と話していて、驚くと共に強い刺激を受けました。
とはいえ、通常業務もある中で実証実験を進めるのは、スケジューリングするのがとてもとても難しかったです。テーマ設定や実施のタイミングが遅れて、後半は急ぎ足になってしまいました。終盤に向けてメンバーの意欲は上がったものの、根拠づけが不十分で、最終選考に残ることができませんでした。悔しいという想いが残っています。
しかし、社内ではエイカレへの取り組みが認知されて多くの方々から声をかけられ、社内外に新しいつながりができました。何よりエイカレで『自分で会社を変える』という新しい視点に出会ったことが学びになったと思います」
日本ベーリンガーインゲルハイム(株)
プライマリーケア事業本部 営業本部 関東甲信越支店 川越所沢営業所
漆原 李理様(営業13年目 チームリーダー)
「社内選考を経て掴んだエイカレへの参加でした。チーム結成当初、お互いを探り合いながらのチームビルディングをスタートしましたが、ブレストを重ねる中でエンゲージメントが高まっていきました。参加当初は、チームのリーダーをやろうとは思ってはいなかったのですが、メンバーそれぞれが私の得意分野を見出し、リーダーに推してくれました。このメンバーとなら自分なりの新しいリーダー像が創れるかも、と覚悟が決まり、苦手であった「人に頼ること」が出来るようになったと感じています。結果、最後まで支え合うチームとしてやり遂げる事ができました。
実証実験では労働組合まで巻き込んでの展開となり、説明に四苦八苦。場面によって説明方法を変えることも大切だと学びました。
仕事が忙しく、精神的にも体力的にも弱った時期がありましたが、時に高いモチベーションのメンバーに助けられ、支え合うチーム力でファイナリストに選ばれました。フルオンラインであっても、チームの絆は強くなることが出来、私自身も成長マインドとポジティブ思考を手に入れることができたと感じています。
社内はもちろん、顧客からの応援も自信になりました。エイカレサミットをYouTube配信で見てくださった顧客から『全力で臨む姿を見て、仕事への信頼感も高まった』という感想をいただき、嬉しかったですね。
エイカレ参加を通して、半年後には成長した自分に必ず出会えます。私も、子育てをしながら営業を続けるという課題を今後も突破し続けたいと思っていますので、皆さんもぜひ頑張ってください!」
エイジョたちのマインドに変化の兆しが
卒業生の「変革ストーリー」を聞いたエイジョたちからは前向きな感想があがりました。
- 「自分が動けば、何かが変わるかもしれない」
- 「自分を変える決心がついた」
- 「思っていたより、会社を変えるきっかけがつくれそう」
中川さん、漆原さんともに、仕事とエイカレの両立に悩みながらも仲間と支え合い、時間を効率的に使って実証実験を進めた過程を紹介してくれました。
周囲を巻き込んで実証実験をうまく進めるためには、数字・データを使い、目的をシャープにしながら対象者を巻き込んで協力を得る必要があります。それは、ビジネスパーソンに必要なスキルそのもの。実証実験は、自分自身をスキルアップさせるためのプログラムでもあるのです。
Chapter3
ライフとキャリアを「自らデザインする」
午後からは、自分と向き合い、これからのキャリアを考える時間です。
「やりたいことに蓋をしていないか」と自分に問い、ありたい姿を描き、ライフとキャリアを同時にシートに落とし込んでいくことで、見えていなかった不安や、やるべきことが具体的に見えてきます。
参加したエイジョのコメント
「想像していたより時間がないことに気づいた。出産までにキャリアアップしておくと、先の安定につながるかも」
「今までぼんやり考えていたことを書き出したら、気づきが多くあった。次の上司との面談では、このシートを見せてみようと思う。可視化する意味は大きい」
「社会と関わりを持ち続けたい気持ちがあることに気づいた。家族ができても、働き続けていたい」
Chapter4
麻生要一氏に聞く 「大きな会社の動かし方」
自分の力だけで実現が難しいことなら、会社や組織を動かして実現させればいい。
フォーラム1日目、最後のゲストは、これまでに数千件の新規事業を生み出してきた麻生要一氏です。
「大きな会社の動かし方」というタイトルでご講演いただきました。
新しい価値を創造するためのテクニックとは
起業家、投資家、経営者であり、絵人でもある麻生氏ですが、ご自身の仕事について「1つのことしかやっていない」と話します。それは、新しい価値を創造するということ。そこで必要になるのは「課題設定」です。
「『課題は変化から生まれる』という方程式を知っておくと、ホットな課題に出会う可能性が高まります」と麻生氏。「例えば、法律が変わったり、競合ができたりすると、会社の状況は変わります。変化に注目すると、その裏には必ず困っている人がいる。その人の悩みを解決すれば、新しい価値を生み出すことになるのです」。
数多くの講演を行う麻生氏が「エイカレでしか話さない」というディープな話題を織り交ぜながら、企業論理やプロジェクト立ち上げの舞台裏に迫るトークが繰り広げられました。
「主体的に変革をリードして、新しいことを1つでも2つでも仕掛けてみてほしい。そうすれば、絶対に毎日が楽しくなるはず。そんな仕事の仕方で、楽しく働いてもらいたいと思います」
Wrap Up
今日1日を振り返って
1日目の最後には、今日の気づきを「一言で」表してもらいました。
フォーラムがスタートしたときの不安げな様子から一転、笑顔と希望にあふれる表情へ変わった参加者のみなさん。スケッチブックには前向きな言葉が並びました。
明日はいよいよ、実証実験計画です!
フォーラムの2日間を通して、本プログラムをグラフィックで記録(レコーディング)しておりますので、ぜひご覧ください。
エイカレ2022の集大成、サミット(最終発表会)は2023年2月22日を予定しています。
サミットには、今期ご参加企業のほか、エイカレへの参加を検討されている企業様もご参加いただけます。以下のフォームよりお問い合わせください。
http://eijyo.com/report/SUMMIT2021.html
https://eijyo.com/contact.html