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SUMMIT2021 篠田真貴子氏 特別講演レポート #03

講演テーマ
「聴く」は自律的な営業チームに効く」

#03「聴く」ことは自律的に働けるようになる近道だ

 

 

異業種で営業変革と女性社員の育成を目指すプロジェクト・新世代エイジョカレッジ(エイカレ)は、2014年のスタートから現在までに、のべ137社、837人にご参加いただいております。約半年間のプログラムの中で、参加者は自らの課題解決と営業変革につながる『実証実験』を行い、『当たり前を崩す』提言にチャレンジ。これまで数々のイノベーションを創出してきました。

そして、毎年、総括の場となる「エイカレサミット」では、皆様の知見を広げていただけるような特別講演を実施しています。2022年2月22日に開催した「エイカレサミット2021」では、株式会社エールの取締役でいらっしゃる篠田真貴子氏にご講演いただきました。

世界的なベストセラーとなったケイト・マーフィーの著書『LISTEN―知性豊かで創造力がある人になれるー』の日本語監訳を担当された篠田氏。普段私たちが行っている「聞く」ではなく、「聴く」とは何が異なるのか、「聴く」ことがいかに自律的に働くことにつながっていくのか。篠田氏にお話いただいた内容を、全3回のレポートでお届けします。

本レポート内では、「聞く」と「聴く」の2つが出てきます
話し手の語る内容を「私の考えと合っている・違う」などと判断しながら「聞く」姿勢と、聞き手がいったん自分の判断を留保して、話し手の見ている景色や感じている感覚に意識を集中させながら「聴く」姿勢のふたつがあり、後者の耳の傾け方を意識して記述している箇所は「聴く」を、それ以外は「聞く」と記載しています。

自律的に働くのは「聴く」ということ

 
私個人も弊社エールも、実現したい組織の姿は、社員が自律的に働く組織だとお話ししました(#01)が、ここで「自律」とは何か改めて定義を確認してみましょう。
 

篠田様ご講演投影資料01
 
 

「自律」は、英語ではautonomy。自分の立てた規律に従って行動することです。反対語は「他律」で、よその人の決めた規律に従って行動することです。
「自立」は、英語ではindependent。他に頼らずに独り立ちしているということです。反対語は「依存」となります。
 
今回、私たちが目指すのは「自律」です。
例えば、私は現在では自律型人材に慣れているかもしれません。
しかし、例えば子どもが小学生のときのPTA活動を振り返れば、全く自律していなかった。言われたままをこなすだけだったのです。さらに社会人になったばかりの頃は、収入を得て経済的には自立することはできましたが、キャリアとして自律していないという状態だったなと、今振り返れば思います。
 
人が自律できる人材であるということと、自律的に働いていることはイコールではないということなのです。
個人と組織、両方が自律的に働くためには、双方が要件として必要なのです。そして、個人と組織が互いに高めあうことができたら、それがベストです。
 


自律型人材を育成している組織の信念

 
では、自律型人材を育てるには、組織としてどんな信念が必要なのでしょうか。
 
1つ目は、社員一人ひとりの内的な変化を願うことです。
自律する環境を整えたとしても、個人に対して自律的になることは強制できません。自律的に働くことは、個人の内的な状態から生まれてくるからです。環境を整え、内的な変化を願い、そのためのサポートをすることができるでしょう。
 
2つ目は、組織の理念・戦略と個人の動機は重なることができるということ。
社員の自律を願う会社で働こうとしている個人が自己理解を深めていけるのならば、きっと重なりは見つかるのです。
 
3つ目は、一人ひとりに合う仕事を増やしたり、必要に応じて作ったりすることです。これまでの2つの状況が整っていけば、自然と変化していくでしょう。
一人ひとりの個人が自己理解を深めていけば、自分と他の人の考え方や進め方が違うと理解し、自分のやり方を自主的に見つけることもできます。主体的に自分に合う仕事のあり方や進め方を生み出し、それを会社も許容できれば自律的な組織になっていくはずです。
 

篠田様投影資料02

自律型人材が身につけている資質

 
今度は個人として、自律的に働くために必要な資質を考えてみましょう。
 
1つ目は、一般的な業務スキルがきちんとあること
2つ目は、課題発見から実行、検証、学習の行動特性があること。依頼された仕事であっても、自分の規律に従って判断し、仕事を進めることができるかどうかです。これができず、行う作業や業務のやり方まで押し付けられ、自分の動機とずれたまま従っていると、長期的には疲労が出て燃え尽きてしまいます。
そこで3つ目は、自分の動機を理解し、業務とのマッチングを見極める力が必要になるのです。
 

 
エイジョカレッジの活動はまさにこの3つを行なっています
仲間たちと共に実証実験するには、自分たちと違う考えを持っている人が何を考えているのかということを知ろうとして、実証実験を繰り返してきたわけです。
検証と学習を深める、振り返り習慣と対話が、成長を促します。さらに、これまでと異なる活動をあえて「やってみよう」とすることで、周囲からも「なぜ?」と聞かれます。それを一生懸命答えようとすることで、自己理解を深めることができたはずです。「聴き合う」ことがここまでかなり繰り返されたからこそ、みなさんが、今日のサミットにいらっしゃるのだと思います。
 
自律型人材は、1人でできることではありません。むしろ業務の進め方や自分の動機について多様な人たちと「聴き合う」ことが欠かせないのです。
 
これまでは組織に所属したら自分を抑えなくてはいけないと思われてきましたが、むしろ「聴く」スキルを身につけることができれば組織に所属した方が自分らしくあることができるのです。
まさにパラダイムシフトが起きるはずです。
 
「聴く」「聴かれる」というスキルは、営業パーソンにとっても自律的に働くために意識して身につけるべきスキルであり、学び続ける必要があるものです。
その一方で、意識しなければさまざまなトラップにはまりがちなスキルでもあります。
サステナブルに働くために、意識して学び続けてみてください。
 


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