エイジョの本質的課題にとことん向き合う2日間
1~2期は7社30名規模だったエイジョカレッジも、昨年度は一気に20社200名に拡大。
4期目の今回は、1期からエイカレの企画・講師を務めるチェンジウェーブ代表の佐々木裕子と、20社150名の参加者の皆さんで、エイジョの抱える本質的課題に改めて向き合いました。
冒頭でご挨拶いただいたKDDI株式会社 人事部D&I推進室の間瀬室長からは、「仕事には、熱意・能力・経験が大切といいますが、
熱意を1人で高めることは難しい。ネットワーキングを通じてこの場を楽しんでほしい」というメッセージをいただきました。
最初に「エイジョ的本音アンケート」と題し、スマホを使ったアンケートシステムで参加者の本音を探るアンケートを実施。
Q. 今、営業、楽しい?
Q. ぶっちゃけこの先も、営業は続けて行きたい?
Q. 営業をやっていて、結局のところ一番の悩みは何?
- 常にプレッシャーに追われること - 精神的に持つのか
- 長時間労働 - プライベートと両立できるのか
- 転職の脅威 - どうする結婚・家族?
- 男社会の難しさ - 所詮女子は生きにくい世界?
- お客さんとの関係性 - 人間関係って結構フクザツ
- その他
営業を続けていきたいか? 管理職になりたいか?という設問に対して、昨年とほぼ同様の結果に。
「エイカレ白書」のサマリーも共有され、会場からは共感や驚きの声が聞こえました。
※エイカレ白書=営業の働き方やキャリアに対するイメージの男/女/上司間の相違点を明らかにし、営業職を続けたい・管理職になりたいという意欲への影響を明らかにする目的でチェンジウェーブが作成
エイカレ白書詳細 →
アンケートやエイカレ白書の結果を踏まえ、グループ内でお互いの課題や悩みを共有してもらったところ、共通して挙がったのが、
「長時間労働をこのまま続けられるのか」「転勤が怖い」「常に数字に追われていて、プレッシャーに耐え続けられるのか不安」などという意見でした。
これらを踏まえ、次のセッションでは昨年度の参加者、事務局それぞれによるパネルディスカッションをしました。
繁忙期の最中だったため最初は消極的に参加したという参加者の1人は、「エイジョとして」という提言に若干抵抗があったと言います。しかし、「負けず嫌いだから」と実証実験に熱心に取り組んだ結果、1年前と比べ会社全体のことを考えられるようになったそうです。
「確実に視座が上がりました。以前は全く興味のなかった決算短信を読むようになりました」
エイカレに参加した当初は、男性中心の営業にかなり疲弊しており、営業に対して前向きになれなかったという参加者は、「キャリアや人生について整理ができ、”ゆるやかな覚悟”ができました」と発言。
マネージャーという言葉に対する拒否感がなくなり、実際に目指すならどうだろうか?と考えるようになったとのこと。
変わるスイッチは何だったのか?という問いに対しては、実証実験を経て役員に提言する機会をもらえたことを挙げる参加者が多く、「自分でも会社に提言できるんだ」と思ってから意識が変わったという参加者も。
一方、役員が全員男性で、数字としては知っていたものの「すごく偏っていることを目の当たりにしてショックだった」という発言や、女性だからといってゲタを履かせられて管理職になるのではなく、中身も伴っていないとダメだと痛感したという意見もありました。
事務局側から見ても、実証実験後は参加者の目の輝きが全く違ったものになったそうです。
昨年初めてエイカレに参加した事務局の1人も、「『ロールモデルがいないなら、自分がロールモデルになる』とメンバーの意識が明らかに変わった」と言います。
参加者たちの変化が顕著だった一方、経営者サイドの営業女子への理解も深まったという意見もありました。
人事部からの報告では「女性活躍推進」という言葉で片付けられてしまうケースもありますが、参加メンバーから報告することで「現場の声」と経営層が捉え、真剣に考えてもらえるようになったそうです。
また、ある企業では経営層を動かすのはもちろん、現場が「そうは言ってもね……」と躊躇するところから変えていけるよう、最初から営業部門を巻き込んでエイカレに参加したとのこと。
参加者同士の連携を密にし、現場の反発ややる気のなさをどうやって解消していくのかを話し合えるよう働きかけていった結果、部門全体を実証実験に巻き込み、少しずつ変化を起こすことができたという事例も挙がりました。
参加メンバーのやる気はもちろんですが、経営層や上司の理解、事務局をはじめ広報など様々な部門によるフォローアップも重要になるのがエイカレの特徴。
4年目となる今年は、各社の事務局にもノウハウが貯まってきており、万全のバックアップ体制で臨んでいます。
パネリストとして登壇した事務局メンバーからは、「この2日間を活かすも殺すも自分次第。2日間楽しんでください!」と熱いエールが送られました。
続いてのセッションでは「私のエイジョ的問題と向き合う」と題したワークを実施しました。
まず「自分のありたい姿」を絵に描き、その絵を眺めながら、改めて言語化していきます。
そのうえで、現状とのギャップや、ギャップが生じている理由、そのギャップを変えられるとしたらどんな方法が考えられるかを自分に問いかけます。
個人ワークの後は、グループ内で自分の本質課題を挙げた背景や原体験のエピソードを含め、共有しました。
さらにグループディスカッションを通して、自分たちに共通する本質課題を考え、その解決方法について考えていきます。
共通で挙がった課題を全体でも共有したところ、
「なりたいロールモデルがいない」
「時間的に余裕がない/残業前提の仕事量」
「(営業を続けていく・管理職になる)覚悟が足りないように感じる」
などといった意見が挙がりました。
これらの課題の解決方法を考えることが、実証実験につながっていきます。
次のセッションは、昨年度も大好評だった株式会社永谷園ホールディングス 経営戦略本部 担当部長 兼 健康食品事業部 部長の大隅聖子さんにご講演いただきました。
リクルートに17年、ローソンに9年、そして現在所属されている永谷園と、キャリアのほとんどを法人営業として過ごしてこられた大隅さん。
現場から営業マネージャー、役員を経験されている大隅さんの言葉に、参加メンバーも熱心に耳を傾けます。
冒頭に「営業を続けて、トップを取るくらい極めていってほしい。そして管理職になって物事を動かし、自分の関わるメンバーにやりがいやチャンスを与えられる人になってほしい」という力強いメッセージをいただきました。
営業としてのキャリアをスタートした当初は「営業がイヤでイヤで仕方なかった」という大隅さんですが、その後少しずつ営業の楽しさを知り、管理職に。
自分で決済して会社に提案し、それを実現していく醍醐味を味わいます。
大隅さん:やはり組織のトップになると、自分の力で誰かを幸せにしたり、やりがいを与えることができるんだと感じました。最前線でずっと営業をやっていこうと思うキッカケになった出来事です。
全社を動かすようなプロジェクトを推進する際も、営業で身につけたスキルが大きな助けになったと大隅さん。
それでも、昇格するたびに「自分は自信をもって”課長になった”といえるだろうか」と自問自答を続けていたそうです。
「ロールモデルがいない」という共通の課題をもつ参加メンバーたちにとって、役員まで経験されている大隅さんの言葉は勇気を与えられるものになりました。
講演後には質問が殺到し、休憩時間にも参加者たちに囲まれ、丁寧に質問に答えてくださいました。
最後にエイジョたちへのメッセージとして、
大隅さん:営業職は相対的に厳しいこともあるかもしれない。でも、絶対に自分に対して良いほうに変わっていくと思いますし、ぜひ続けて、その力を会社や社会にお返しできるようになっていただきたいなと思っています。
というエールをいただきました。
2日目は昨年度と同様、2期生が考案した「ライフキャリアデザインシート」を記入するワークからスタート。
配布されたシートに、「自分の年齢」「ライフプラン(結婚や出産、親の介護など)」「会社にいる時間」「キャリアプラン」を記入していきます。
ライフキャリアデザインシートに関するお問い合わせ →
注文フォーム →
初日に「このまま続けていけるのか不安」と語っていたメンバーも多い中、実際に書き出してみることで親の介護を身近に感じたり、子どもを生むならいつまでに結婚しなければならないのか?など、曖昧だった点が少しずつクリアになっていきます。
個人ワークの後は、昨年度の参加者にライフキャリアデザインシートの体験談を語ってもらうセッション。
「“本当に管理職になりたいのか?”、“自分はどこまで上昇志向があるのか?”を改めて考えるキッカケになりました」 「“人生、先が長い”と思いました。仕事は1年後・3年後・5年後くらいまで考えていましたが、それ以上先のことは考えていませんでした」
「これまで何となく生きてきてしまったと思いました。シートを書くときに迷う自分がいて、もっと軸をもって生きたいと強く感じました」
などと言った感想が挙がり、参加者の中には頷きながら熱心にメモを取る人も。
卒業生たちの体験談を踏まえ、もう一度自分のライフキャリアデザインシートを考えます。
ポイントは「子育て中の仕事との向き合い方」「自分の年齢、親や子どもの年齢」「10~20年後のキャリア」。
これらを考える中で、自分の会社ではいつまで時短勤務が認められているのかを知らないことに気づいたり、いつ昇格をするつもりでいるのかなど、これまで考えたことのなかったことが次々に見えてきます。
そのうえで、2~3人のチームに分かれ、1人20分と時間をたっぷり使って共有し、本人が気づいていない視点や可能性をみんなで提供していきます。
議論しながら「どうやったら実現できるか」を徹底的に考え、これからの自分たちに向けてのエールをスケッチブックに書き出して、ライフキャリアデザインシートのワークは終了しました。
2日目の午後からは、各社毎のグループに分かれ、いよいよ実証実験に向けて動き出します。
2018年2月に開催される「新世代エイジョカレッジ・サミット2018」に向け、「次世代型営業モデルの創出」をテーマに各社毎に実証実験を行ないます。
「次世代型営業モデル」とは、これまでの「営業」の概念を塗り替え、生産性向上と顧客価値の追求を目指すもの。実証実験結果を審査し大賞を決めます。
実証実験の具体的な計画に入る前に、昨年度の大賞を受賞したキリンビール株式会社の加藤さまよりアドバイスをいただきました。
チーム名は「なりキリンママ」。
1ヶ月間、「ママ」になりきってみる実証実験を行なった背景や進め方、周りを巻き込む際に大変だったことなど、具体的にお話いただきました。
当初は人事部に抗議をしてきた上司も、実証実験が終わる頃には「全社員が絶対にやるべきだ!」と意識が変わったというエピソードも披露され、結果として残業時間を51%削減、業績は前年維持&全国平均を上回ったとのこと。
生き生きと当時のことを話す加藤さんの姿に、参加者たちの目も輝きます。
実証実験のアイデアを出す際に大切なのは、「一見突拍子もないアイデア」や「枠を超えた発想」です。
そこで、UXデザイナーであり、グラフィックカタリストのタムラカイさんに登壇してもらい、彼の提唱する「エモグラフィ」を使ったアイデア出しをスタート。
絵のレクチャーを簡単にしてもらった後、まず事前課題の内容をエモグラフィ(表情)とセリフ調で描いていきます。
それをグループ内で共有し、共感できるシーンの上位2つを選びます。
2つのシーンについてグループ内でディスカッションをし、「次世代の営業って『○○○』かもしれない!」という仮説を立てていきました。
その後、バディチーム(自社以外の企業)と仮説を共有し合い、どうやったら実証できるのか、実験のアイデアを議論していきます。
このバディチームは、実証実験中もずっと組んで、お互いにアイデアを出し合ったり、協力していきます。
異なる文化をもつ企業と協働することにより、イノベーションを起こすことが目的です。
最後にチームリーダーとネクストステップを決め、各グループの意気込みをスケッチブックに書き、2日間のプログラムは終了しました。
2日間の感想について、参加者からは以下のような声が聞かれました。
各チームは今日立てた仮説を踏まえつつ、8月末までに実験計画を立て、10月末まで実験を行ないます。
11月に一次選考、1月に二次選考が行われ、2月16日のサミットで最終選考というスケジュールです。
サミットには、今期エイカレ参加企業の参加者とその上司の方にご参加いただけます。
来期プログラムへの参加をご検討されている企業のご担当者様もご参加可能です。
ご興味のある方は、ぜひお問い合わせください。
お問い合わせ→
グラフィックレコーディングとは、議論や対話などを図や絵を使ってグラフィックに可視化していくことで記録する手法であり、
今回のフォーラム2017では、UXデザイナーでありグラフィックカタリストのタムラカイさんを中心に、グラフィックレコーディングを実施していただきました。
こちらでは、フォーラム中にリアルタイムで描いてもらったグラフィックレコーディングを掲載しております。