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新世代エイジョカレッジ セミナーレポート
営業部門で女性管理職登用を進めるために
エイカレ参加企業に聞く コニカミノルタジャパン株式会社様

営業変革・人材育成をテーマに、2014年にスタートした異業種プラットフォーム「新世代エイジョカレッジ(以下、エイカレ)」。
企業チームでエントリーした営業職の女性が実証実験を通して営業現場の課題や崩すべき「アタリマエ」に挑み、その結果をコンテスト方式で競います。
 
参加するのは、管理職23歩手前の若手人材。各企業の事務局からは管理職・リーダー的立場に就く前に「ひと皮むける体験をしてほしい」「目の前の業務だけでなく、広い視野で考えられる課題に取り組んでほしい」といった声が毎年寄せられています。
 
エイカレの企画・運営を担うチェンジウェーブでは、20236月「営業で管理職を目指したキッカケ」と題したオンラインセミナーを開催。エイカレに5年連続で参加してくださっているコニカミノルタジャパン様にご登壇いただきました。
 
本レポートでは、セミナーの内容をまとめてご紹介します。


ゲスト

伊﨑 公司様
コニカミノルタジャパン株式会社
人事統括部 人事部長 兼 ダイバーシティ推進室長

 

岡田 宏美様
コニカミノルタジャパン株式会社
ソリューションエンジニアリング統括部
西日本ソリューションサービス部
部長

 

岡本 真美様
コニカミノルタジャパン株式会社
ソリューション営業統括部
ソリューション第3営業部
関西ソリューション営業グループ
リーダー

進行

鈴木 富貴
株式会社チェンジウェーブ
上席執行役員

 


女性対象のプロジェクト型研修を行う意味

 
チェンジウェーブ・鈴木(以下、鈴木)
エイカレは、2022年までに148917名の参加をいただいている異業種プラットフォームです。営業職の女性=“エイジョ”を対象としたプロジェクト型の研修、と言って良いと思いますが「女性だけを対象とすることに意味はあるのか」と問われることがあります。
 
弊社は、アンコンシャス・バイアスの対処にも長年取り組んでいますので、バイアスの影響で、コミュニケーションや育成で男女に「微差」が生じ、それが重なって実力差を作るという場面を多く見てきました。
調査すると、女性への厳しいフィードバックを躊躇するマネジメント層がまだまだいらっしゃるのが現状ですし、女性の側にもバイアスがあって、「自信がない」「リーダーは無理」と一歩踏み出せずにいるということもあります。
 
あえて女性だけのチームでプロジェクトに挑み、組織を動かす経験をすること、また、そのチームの役割分担を通して、多様なリーダー像があって良いのだと体感することは、育成という観点でも、今後のキャリア構築という観点でも、大きなインパクトを与えうると考えています。
 


「営業を続けるのは無理」から「私たちが変える!」へ

 
過去にエイカレで大賞を受賞したものの中には、時間制約のある働き方で生産性を向上する実験(なりキリンママ)、転居しない転勤でキャリアアップを目指す実験(あたらしい転勤)、管理職を体験する実験(マネチャレ)など、全社展開の研修に発展したり、人事制度の改定に繋がったりという結果も出ています。
 

 

実証実験はエイジョ自身の「変えたい」から設定しますが、自分たちが動けば周囲が受け止めてくれる、変化する、といった体験をすることで、エンゲージメントが高まった、という感想を多くいただきます。もっと営業を続けたい、管理職をやれる感じがしてきた、という話を聞けることも毎年本当に嬉しいです。
 
では、この後、コニカミノルタジャパンのお三方からお話しを伺います。


コニカミノルタジャパン様の取り組み

 
伊﨑公司様(以下、伊﨑様)
コニカミノルタジャパンは、コニカミノルタグループの一つで、日本の事業会社です。創業はカメラやフィルムを扱っておりましたが、現在の主な事業の柱は、オフィスに欠かせない複合機を軸としたソリューション提供、レントゲン装置や超音波診断装置を扱うヘルスケア、「色」や「光」を数値化するセンシング技術でものづくりを支える製品の3つです。
 
コピー機などの複合機、レントゲンのフィルムなどは大変重く、以前は外勤イコール男性という感じでしたが、現在は営業職で女性は2割ほどになっています。
 
エイカレ参加の背景としては、営業の女性管理職を育てたいという明確な意図がありました。このため、各部門に期待人材を出してほしいと依頼し、役員層を含め上長からグリップしています。参加することで、視野や人脈を広げるというプラスがあることもわかっているので、通常業務では味わえないような経験を期待している、というところです。
 

ディスカッション

 
鈴木:
伊﨑さん、ありがとうございます。
本日は、2020年にエイカレに参加された岡田さん、岡本さんにもご登壇いただいています。自己紹介と、ご自身にとってエイカレ参加はどんな機会だったのか、お聞かせください。
 
岡田宏美様(以下 岡田様):
2007年に入社し、2013年に産休・育休も経験しました。勤続16年目の現在は、14人のメンバーをマネジメントする部長職です。
エイカレに参加したときは、子どもが小学校に入りたてで、時短勤務中でした。「管理職なんて、自分の順番はまだ」という思いだったのですが、エイカレのキックオフで実施するライフキャリアデザインのワークで、残された時間の少なさに驚愕したのを覚えています。
これをきっかけにキャリアについて前向きに考えたいと思い始め、同じ時期に管理職試験を打診されました。私にとっては奇跡的とも言えるタイミングで、「時間に制約のある私のようなスタイルも、管理職の一つの形としてあってもいいのではないか」と前向きに捉えることができました。
 
岡本真美様(以下 岡本様):
異業種から転職し、マーケティング部門を経て5年ほど前に現在の部署に異動しました。今は、メンバー6人のリーダーを務めています。
実は私は営業が「大嫌い」でして…笑。これは営業へのバイアスだったと思うのですが、なぜ「嫌い」なのかを改めて考え、紐解くキッカケになったのがエイカレです。
「嫌い」を深掘りし、それに対策していくためにどうすればいいかと思案した時、これは管理職というある意味での「力」を得ることが必要ではないかと考えました。
「営業嫌い」な私が営業職としてどこまで前に進めるのかということを、ずっと実証実験していきたいという気持ちでいます。
 
 

2020年 linK sMile proJect (岡本さん、岡田さん所属チーム) 発表資料より
 

「営業はゴリゴリ売り込むのが仕事」というアタリマエを壊すため、次世代営業モデルを「ゆるくつながる営業」と定義。
共通課題を持つ顧客同士、社員同士をリモートでつなぐ実証実験を実施した結果、案件化までの時間短縮、情報の質と量の増加、顧客対応力向上などの効果も得られた。


鈴木:
営業の形も変えることができるし、多様なリーダー像があっていい、という気づきがあったということでしたが、人事の立場から、管理職登用について取り組まれている点をお聞かせください。
 
伊﨑様:
女性登用のためというよりは、リーダー像そのものを変えたということです。
KPI(重要業績評価指標)管理をするのだけではなく、ビジョンを示して周囲の人たちを巻き込み、サポートするところで結果を出す。これがこれからのリーダーであると新たに定義し、エンパワーメントリーダーという言い方をしています。
 
鈴木:
お二人はその変革をどのように捉えていますか?管理職へのイメージは変わりましたか?
 
岡田様:
まず弊社はありがたいことに、働きやすい制度が充実しています。
そのうえで、従来イメージしがちな管理職像に囚われなくてもよい、という変革がありましたので「時間に制約があるから管理職は厳しい」という感覚はなくなったと思います。
 
岡本様:
同じく、フレックスやテレワークなどの制度が整っていて、働きやすい環境であるという大前提があります。
私自身としては、イメージ通り業務量が多いと感じており、常に二手くらい先を考えながら動くことを意識しています。抱え込まずに取捨選択をして、捨てるものは捨てるという思いきりも大切かと考えています。
 
鈴木:
お二人とも「自分らしい管理職」を体現されていらっしゃいますね。
最後に、参加者がエイカレをどのように活用したらよいのか、アドバイスをお願いします。
 
伊﨑様:
多くの会社の課題でもある「女性管理職育成」にうまく使うことができると思います。弊社では、社長・役員を巻き込んでいます。女性管理職育成のきっかけになり得るのがエイカレです。
また、外部人脈構築も含め、視野を広げるという意味ではとてもいい機会です。
 
岡本様:
今の時代、自分の頭で考えて、何かを作っていける人を増やしていく必要があると考えています。エイカレでは目の前の業務を超えて、普段あまり考えるきっかけのない、大局的なことなど「新しいことを考える」ための、とてもいいトレーニングになると思います。
 
岡田様:
多様なメンバーに揉まれる練習にもなりますし、経験が支えになり、自信になります。エイカレに一緒に参加した岡本さんとは、「岡&岡コンビでうまくやっているね」と言われるくらい、部署連携もうまくいっていて、その存在に刺激も癒しももらえています。社内・社外とのつながりを得る面でも、良い経験になると思います。
 
鈴木:
本日はお三方に貴重なお話をいただきました。どうもありがとうございました。

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