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事例紹介 
ニューノーマルを創る機会 変革を起こす仕掛け 

withコロナ時代を迎え、多くの「当たり前」が強制的に塗り替えられました。今こそ、変革の時だと言われています。
しかし、一方で「元に戻ろうとする力」が強くかかっているのもまた事実です。
そうした中で、ニューノーマルをどのように創っていけばいいのでしょうか。
 
新世代エイジョカレッジ(エイカレ)は、営業の女性(エイジョ)が実証実験を通してビジネスモデルの創出に取り組む異業種プロジェクト。変革のプラットフォームです。
事務局であるチェンジウェーブが、450以上の企業変革に携わる中で培った「変革の仕掛け方」をベースに、企画・運営をしています。
 
エイカレ2019フォーラム部門、審査員特別賞を受賞した東罐興業「TOKAN BUSTERS」では、エイジョの実証実験が全国展開され、経営会議での提言につながりました。その後も業務改善は続き、中堅層・男性にも「変えてみよう」という動きが出てきたそうです。
若手が会社をどのように動かしたのか。レポートでご紹介します。

 慣習にとらわれない 本当にやりたいことは何か

 
エイカレ 2019がテーマとして掲げたのは「破壊と創造」。
営業の女性たちが現場で抱えている課題に対し「なぜ、今、改善できていないのか?」を問い直し、自社・業界の「当たり前」を破壊するビジネスモデルを創造するというものです。その過程では必ず実証実験を行い、机上の空論に終わらないプランを経営層に提言します。
 
TOKAN  BUSTERS」は、東罐興業の営業女性社員、 5人で編成されたチームです。
まず、「当たり前」とされているけれど、自分たちが違和感を持つところは何だろう?と考えたところ、「営業は、時間・体力・鋼のハートを持つ人しかできない」状況である、と気づいたそうです。
・他社と比較しても営業の業務範囲が広く、属人化しやすい
・顧客提案に十分な時間を充てられず、休みもとりにくいのでは
と仮説を立て、棚卸しを行ったところ、営業の業務のうち約 80%が社内調整だということが明らかになりました。顧客提案は 16%しかなかったのです。
 
そこで、実証実験では「社内業務」に特化した PASSER(パサー)という役割を新設し、チーム営業で効率化に取り組むことにしました。また、社内コミュニケーション活性化のため、社内イントラで感謝メッセージとポイントを送りあう「スターポイント」制も実施しました。
 

 
実験の結果、 PASSERに業務を代行してもらえた営業担当に前月比 1.5倍の外出時間が生まれ、新規 3件、年間 1000万円の受注が得られました。また、新製品の初受注にもつながったそうです。顧客からも「バックアップ体制が整っていて良い」「提案・データ共有が早く、内容も良い」と前向きなコメントが寄せられました。
メンバー・落合治美さんは「 PASSERが居てくれるという安心感や情報共有による心強さなどから精神的なゆとりが生まれ、遠方のお客様や少しハードルの高い提案にもチャレンジしてみようという気持ちになりました」と語っています。
 
また、スターポイント制については、 1か月という期間を区切り、イベントとして実施。 1509名の従業員が参加し、 554件のやり取りがありました。工場勤務者から「自分の行動が感謝されていることがわかり、やる気が上がった」「少し手を広げて協力しようという気になった」と言った感想が寄せられたそうです。
 
最終的に、実験結果とさらなる改善に向けた課題は経営会議で提言されることになりました。結果、システム改革プロジェクト立ち上げや勤務制度改定が決定。スターポイント制度についても恒例イベント化の推進へとつながったのです。

なぜ変革が起きたのか フォーラムでスイッチが入った

 
TOKAN BUSTERSのメンバーがここまでやる気になれたのはなぜか。
東罐興業取締役・専務執行役員、営業本部長でもある小嶋司さんは

フォーラムに参加した時から、彼女たちが急変しました。私たちが変えるんだ、というイメージを強く持ったのだと感じました。

と話しています。
 

 
エイカレはキックオフとなるフォーラムで幕を開け、最終発表のサミットで幕を閉じる年度ごとのプロジェクトです。
各企業から選出され、研修として参加したエイジョの中には「この忙しい中、なんでこんなところに呼ばれるのか」と渋々集まる人も少なくありません。
ただ、多くのエイジョがフォーラムを通して自身のライフキャリアデザインを考え、組織を動かす仕掛けを学び、「やったるか!」というマインドセットに変わっていきます。サミットで結果を出すチームにはそのマインドがとても強く見られます。
 
TOKAN BUSTERSのメンバーも、最初から全員がやる気だったわけではありませんでした。食品容器メーカーとして歴史を持ち、顧客も有名企業ばかりという自社について誇りを持ってはいるものの、「営業女性は全従業員の 0.8%。若手でもあり、まだ意見を出せる立場にないのでは」という意識もあったようです。
 
リーダーを務めた吉永摩耶さんは「それまでは、 『会社が決めたことだから仕方ない』とか『どうせ変わらない』とか、あきらめムードが大きかったと思います。でも、フォーラムで異業種からの刺激を受け、どのように変えるのかを学び、『自分たちで変えていく!』という気持ちになりました」と話してくれました。
 
 

 
 
エイカレへの参加を決め、事務局として伴走していた落合佐和子さん(東洋製罐グループホールディングス CSR部:当時)は、エイジョの変化についてこう振り返ります。
 

 フォーラムでスイッチが入ったのは確かですね。参加を決めるまでが私の仕事で、あとはエイジョが自走していきました。
まずは他社からの刺激です。自社にはいない「育休から復帰した後も営業を続け、管理職になった女性」を目の当たりにしたことで将来に目が開き、愛社精神にあふれたバディチーム(エイカレで壁打ち相手となる企業)の話に触れて「自分たちだけでなく、会社全員が働きやすくなるように」と思ったようです。
そして、最も大きかったのは「大きな会社の動かし方」を学んだこと。フォーラムのインプットは大変勉強になりました。彼女たちはフォーラム後すぐに経営企画室にヒアリングに行き、自分たちがやろうとしていることと経営の方針がズレていないか、確かめていましたし、実験についてもまずは営業本部長に理解してもらい、役員会で承認をとっています。
営業の業務を可視化したら80%が社内業務で、一番驚いていたのは本人たちでしたが…。「正しい」ことを主張するだけではダメで、数字とストーリーで相手の優先順位を上げてもらうこと、味方になってもらうことを心がけていたと思います。だからなのか、「他人の話をよく聴くようになった」と感じました。

 
 

エイカレ事務局として伴走した落合佐和子さん
 
 
エイジョの本気は行動に表れていました。
例えば、スターポイントイベント実施のための説明会を本社で 5回開催しただけでなく、全国の工場にまで足を運んだのです。
 
これを受け、事務局も社内広報等を使ってエイカレの取り組みを積極的に紹介。メンバーだけの取り組みにしないよう、援護射撃を行っていました。
「会社の雰囲気が変わったんです。彼女たちが全国を回って説明しているうちに、良い意味でザワザワしたというか。改善できる、改善するんだ、という流れになり、『ここを変えたい』という声が彼女たちに集まってきました」(落合佐和子さん)
 
上司のサポートも支えになりました。営業一部の吉田泰部長は彼女たちの取り組みを高く評価し、チーム営業が効率的に回るよう目配りをしていたそうです。
「よくぞ壊してくれた、というか、仕事のやり方を見直す大きなきっかけを彼女たちが作ったと思っています。」
 
他にも、 40代の課長層で技術系の業務改善サークルができたり、属人化していた SCMシステムが変更されたりするなど、社内各所に変化が波及。確かな動きが生まれてきました。
 

  写真提供 東罐興業

変えようと思えば会社は変わる

 
サミットでは受賞メンバーが、「会社が好き!会社をもっと良くしたい!という想いで走り続けた日々でした。協力してくださった皆さん全員に、ありがとうと言いたいです!」と涙を見せたのが印象的でした。
 
その後、コロナ禍で状況が様々に変わる中でも、メンバーは自主的に業務改善活動を続けています。
 

情に厚く、職人気質のプロが多い反面、効率化(=楽になる)はずるいことでは、という意識がどこかに根強くあったんです。それがエイカレをきっかけに『実はやりたいと思っていた』ことをまずは始めてみたい、『文句を言いながらも使っていたもの』をやめようと言えるようになった、という声が寄せられました。スターポイントイベントをグループ他社で実施するなど、横展開の可能性も見えてきました。
小さいところから成功例を積み上げ、PDCAを回すという、良い機会になったと思っています。

(落合佐和子さん 東洋製罐グループホールディングス CSR部:当時 )
 

 
withコロナ時代のニューノーマルを創り出すチャンスに。
 
エイカレ 2020では、現在参加企業を募集しております。詳しくはエイカレ公式サイトをご覧ください。
http://eijyo.com/index.html
 
サミット 2019レポートはこちら
http://eijyo.com/report/summit2019.html