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事例紹介 
営業でも業務の85%がリモートワーク可能に! withコロナ時代の営業変革

新型コロナ感染症が拡大した今春、企業の営業活動は大きく変化しました。訪問を自粛し、オンラインや電話など「会わない」営業スタイルにシフトせざるを得なくなったからです。
しかし、この変化を「当たり前を崩す」機会と捉え、ビジネスモデル変革につなげる企業もあります。
 
エイカレ2019フォーラム部門、大賞を受賞した三菱地所プロパティマネジメント株式会社「あたらしい 転勤 はじめました」チームの事例をご紹介します。


エイカレ 2019フォーラム部門・大賞
「あたらしい 転勤 はじめました」チームの皆さん
 

行くことが「当たり前」なのか 転勤の新しい形を考える

 
転居せずにキャリアアップしていくことはできないだろうか?
そう考えたのは、三菱地所プロパティマネジメント株式会社の営業職女性6人でした。
彼女たちが働いているのは全国のオフィスビルや商業施設の運営、管理サービスから街づくりまでのトータルマネジメントを行う会社。転勤の可能性は低くありません。
営業はとても楽しい。やりがいがある。
働きやすい環境も整ってきている。
それでも、自分、もしくは家族の転勤によって転居せざるを得なくなり、退職……
つまり、キャリアを中断する可能性があることは、いまだ崩れない「当たり前」でした。
 
「現地に行かなくてはならない」業務を精査し、リモートワーク併用で業務が成立すれば、転居しなくても転勤(部署異動)できるのでは?
「あたらしい転勤」の形を示すべく、彼女たちは実証実験を試みたのです。

リモートワークが可能な業務は 実験後2倍になった

 
まず、業務を洗い出したところ、遠隔でも可能とされていたのは全体の 45%でした。
そこで、会議はオンラインで行う、書類を電子化する、業務分担を見直す、などの工夫を加え、実験を開始しました。例えば、東京のビル担当者が大阪に住み、業務は関西支店に出社してリモートで実施。現地(東京)に行く必要がある際は、出張で対処することにしたのです。
 

 

実証実験の結果、リモートワークが可能な業務は約2倍、85%になりました。

 
顧客からは「対面でなくても、スピーディーな対応をしてもらえた」「部署を横断して多様な情報を提供してくれた」などの好意的な反応があり、自社でも導入したいという声まで寄せられました。
また、転勤者にかかるコストは3分の1以下に圧縮できる可能性が示されました。
 
20202月のエイカレサミットでは、川端良三社長からの「追加実験を進め、社内に広く展開する可能性を探りましょう」という言葉も紹介されたのです。

コロナ禍が顧客を変え、浮き彫りになったグレーゾーン

 
では、急激にリモートワークが進んだ今春、同社の状況はどう変わったのでしょうか。
チームリーダーだった吉野絵美さんにお話を伺いました。(インタビューはオンラインで 20205月中旬に実施)
 

 

一番変わったと思ったのは、相手側の「オンラインへの抵抗感」です。
実証実験の際には、自分だけがリモートワークでしたから、まだなんとなく「オンラインは失礼なのでは」という感覚がありました。でも、それが「オンラインしかない」という状況になったことで、お客様も含め、周囲が一気に変わりました。
 
私の部署では、4月には全員が原則在宅勤務になりました。
昨年から全社的にテレワークが推進されていましたので、それが功を奏した部分はあったと思いますが、全員がリモートワークになったのは大きかったと思います。
 
不動産を扱うという業務の性質上、「書類への押印」は電子化しにくいですし、顧客にITツールが整っていない場合や相対をご希望の場合、また、緊急時の対応などで現地であるビルに伺うことは必須です。
ただ、こうした「削れない部分」が浮き彫りになった一方で、今までは「リモートにできなくはないけど…ハードルが高いから止めておこう」としていたグレーゾーンの業務が「それは本当に変えられないのか?」という議論の俎上に載るようになったと思います。
 
社内を例にとっても、オンライン会議のハードルは格段に低くなりました。
人数の多い会議などは、「皆の顔が見えて、案外成立するな」といった感想が聞かれましたし、実証実験時には「85%の業務がリモート可能です」と言っても「本当に?」という反応だったのが、「いやー、案外間違ってなかったかもね」「意外とできるね」に変わったように感じました。これだけリモートが定着してくると、私たちが提案した「あたらしい転勤」も実現の可能性がより高まったと感じています
一方で、上司や同僚とのちょっとしたコミュニケーションによる組織へのエンゲージメントや、社員それぞれに異なる自宅でのハードを含めた就業環境、オンとオフの切替えなど、「オフィスの重要性や意義」も、このコロナ禍で、改めて可視化されたと感じました。

 

エイカレサミット 2019ファイナルプレゼンテーション
提供:三菱地所プロパティマネジメント
   
では、リモートワークを検討する際のコツはあるのか、再び吉野さんに伺いました。

 私たちが実験した時は、「物理的ハードルがあるか」を基準に考えました。
対面がいいと「思っているだけ」かもしれませんから、とにかく「試してみる」。そして、「比較する」。それが第1段階です。比較しないままに結論は出さない。
ポストコロナ時代はこれまでの基準がガラリと変わりますから、とにかく議論の場に上げていくことだと思います。
 
必ず対面で、というお客様も減ってくるかもしれません。私たちは営業職として、「呼ばれたらすぐ伺わなくては!」と思いこんでいたのですが、少し距離の離れたお客様であれば「いったんすぐにオンラインでつなぎ、数日後、調査等を加えたうえで対面の対応をする」という方がご満足いただける場合もあることがわかりました。「今、どんな対応がベスト?」と自分に問い、質を向上することが大事ですよね。

「あたらしい転勤」の制度化に向けて

 
エイジョの提言を受けた会社も動き始めました。
20204月、「あたらしい転勤 2020」としてプロジェクトがスタート。エイジョ 2人が働き方改革推進部のメンバーとなったほか、人事企画部の担当者も加わり、人事制度化に向けた追加実験を行う予定です。
 
働き方改革推進部の国持貴子さんは、本当に必要なものが何なのか、検証し、見極める時期に来たと話してくださいました。
  

 

弊社は昨年からテレワークやフルフレックス制の導入に向けてトライアルを重ねてきましたが、業務内容を鑑み、比較的慎重に段階を踏んで進めていたと思います。
ただ、このコロナ禍で変化は一気に加速しました。「あたらしい転勤」については人財不足に悩む地方支店からの期待も大きく、業務の増減にリモートワークで柔軟に対応できるという利点もあります。
働き方の選択肢が増える、という点で人財育成の面においても成果が期待されます。
 一方で「リアルに行く」効果があるのも事実です。支店に新しい人財が来て活性化した、異なるエリアでの知見やネットワークを活かした提案が生まれた、という声もあります。
今後私たちに大切になるのは、オーナー様・テナント様や来街者をはじめとしたお客様へどんな新しい価値を提供できるのか、トライアルしながら考え続けることではないかと思っています。

エイカレで「トライする力」を得る

 
吉野さんは現在、中央営業管理部と働き方改革推進部を兼務し、「あたらしい転勤」制度化メンバーの一員として活躍しています。
エイカレ参加で得たものは今後活きる、と抱負を語ってくださいました。
  

エイカレでは「トライする力」を得ることができたのが一番大きかったと思います。
自分たちの課題感から始まった実証実験が、会社を動かす、当たり前を崩す提言になりまししたし、お客様に対しては、視野が広がることで、これまでには考えもしなかったような地域をまたいだ提案ができました。
 
withコロナ時代の今は「当たり前」がすべからく壊されている状況です。これまでと同じではやっていけないと実感しています。
「トライする力」で、今後も新しい価値を創出できるように頑張りたいと思います。

 

 
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