2014年から始まった「新世代エイジョカレッジ」は、営業職女性のさらなる活躍を目指す異業種合同プラットフォームです。
5期目となる2018年は、自分たち・営業の「当たり前」を疑い、労働生産性と顧客価値を追求する「次世代型営業モデル」の創出に取り組みます。
今回は、7月に行われた「新世代エイジョカレッジ・フォーラム2018(エイカレフォーラム)」に登壇いただいた、
過去参加者および事務局(人事・ダイバーシティ推進担当部門)の方々にインタビューを実施。
また、今期から新たに参加された企業のうち2社の方々に、エイカレへの期待や、参加を決めた理由について伺いました。
2017エイカレのテーマである「次世代型営業モデルの創出」の中で、労働生産性をアップにフォーカスを当て、「成果を上げる」ことに着目し、顧客価値にもつながることを示したチタン女子チーム。営業女子の「自己肯定感の低さ」と「“褒める”と“成果”の相関性」から、「褒める文化の醸成」により成果アップにつながるかを実験しました。
短時間労働=制約ではなく、世の中の普通にならないだろうかという考えのもと、営業およびその上司が9:00〜16:00勤務を実施(期間=2ヶ月、1.5hの予備時間を設ける)。顧客にも取り組みについて説明し、チームメンバーが担当する20社に賛同いただきました。
クライアントの課題解決に営業一人ではなく、グループ会社や職種といった壁を超え、協力して取り組む仕組みを作ったところ、実証実験期間中に4社の事例が生まれました。人をつなげる機会と、それを後押しする仕組みづくりを提言しました。
新日鉄住金ソリューションズ㈱ 佐々木さん:
最終プレゼンの前に、社長や副社長がプレゼンの練習を見てくださったので、経営層の存在が近く感じられるようになりました。最終プレゼン前のリハーサルは、社長だけでなく役員全員の前でやったので、正直本番よりも緊張しました(笑)。
緊張感を持って本番さながらの練習ができたことも良かったですし、自社の経営層に自分たちの実証実験や、なぜこの実験をしたのかを直接伝えられた点は、すごく良かったと思います。
自分としても、会社や経営層がここまで真剣に、私たちと向き合ってくれたことに対する喜びは、非常に大きかったです。
リコージャパン㈱ 野村さん:
ハイライトとしては、1次選考通過後ですね。
通過したことを社内報に載せていただいたり、朝礼で発表したりする機会が増え、16時以降に残っていると「帰らなくていいの?」と声をかけてもらうことも(笑)。周りからの協力が大きく、どんどんみんなで盛り上がって、最終的には大賞を獲りたい!という気持ちになりました。
私自身の一番の変化としては、自分の働き方についてこんなに考えたことはなかったし、それを会社がちゃんと聞いてくれ、変わってくれることを実感できたので、モチベーションがすごく上がりました。
メンバーの中には営業を続けていけるか不安に思っている人もいましたが、最近結婚したメンバーは最後に「自分が子どもを生んでも続けられるのは、営業しかない!」と言っていました。
㈱リクルートキャリア 小笠原さん:
ターニングポイントは2つありました。
1つはグループ横断の座談会を実施したときです。私たちには、組織間の連携を強化したらもっと良くなるのでは? という仮説があり、実証実験を実施しました。それが受け入れてもらえるのか、自分たちと同じ課題感を持っている人はどれくらいいるのか、正直不安な部分もありましたが、座談会の告知をするとすぐ60名ほどが集まり、私たちの仮説に賛同してくれるリアルな声をたくさん聞けたので、自信がつきました。
もう1つは、やはり1次選考を通過したとき。
社外から評価されたことで、もっと世の中に発信していけば、社会がより良くなるかもしれないと感じ、みんなで「これは絶対に頑張らなきゃ!」とスイッチが入ったのを覚えています。
私自身の変化では、キャリア感が大きく変わりました。エイカレ前まではWill(やりたいこと)があまり無かったんですが、エイカレでいろいろな方の話を聞いたことや、実証実験を通じて、キャリアについて話し合う場を設けるなど、営業の支援を自ら率先してやっていきたい、という気持ちが芽生えました。
新日鉄住金ソリューションズ㈱ 佐々木さん:
みんな応援してくれましたし、実験にも協力的でした。
実証実験はお客さんとも一緒にやったんですが、働き方改革でつまづいている部分を相談されたり、取り組みを面白いと言っていただけたり、商談のアイスブレイクにもなりました。
一番大変だったのは、実はメンバーとの打ち合わせ時間の確保でした。システムを作るまでは週1回はミーティングをしていたので、プロジェクトメンバーからは「本業務じゃないよね」というような反応も少しありました。「会社で参加しているので、私たちもやらなきゃいけないんです」ってエイカレのせいにすることで突破しましたけど(笑)。
㈱リクルートキャリア 小笠原さん:
社内への発信は比較的スムーズに受け入れてもらえましたが、やはり参加メンバーの時間の確保は困難だったと思います。年代も多少異なりましたし、拠点も違うメンバー同士でのコミュニケーションの取り方は、実証実験のテーマを決めるまで、とても大変でした。
効率的にコミュニケーションがとれるよう、自分たちの業務をすべて棚卸しし、お互いの営業スタイルや業務内容を共有するなど、積極的に自己開示し合うようにしました。
㈱リクルートキャリア 小笠原さん:
これまでグループ会社や職種を横断してクライアントに提案するという経験はなかったのですが、座談会に参加したメンバーが別のグループ会社と協業する事例が出てくるなど、少しずつ進んできたように思います。お客さんからも「今までにない提案だった」「グループ会社で一体となった提案をしてくれて良かった」と評価をいただいています。
リコージャパン㈱ 野村さん:
組織面では、実証実験をやったこと自体、会社からすごく良かったと評価いただきました。今後も柔軟な働き方の実現に向けて、現場の実態に合ったいろいろなチャレンジを、全社で取り組んでいけるといいなと思っています。
自分としては、やはりちゃんと評価してもらえたことが自信になりました。外部メディアにも取り上げていただくことで、営業としてどんなことをやっているのか、友人や親に自信を持って話せるようになったのは嬉しいですね。
新日鉄住金ソリューションズ㈱ 佐々木さん:
会社としては、まず「エイジョ分科会」というものが立ち上がりました。そこでは今回やった2つの実験を、人事部と弊社のシステム研究開発センターが巻き取って、引き続き検討し、将来的に商品化も視野に入れて真剣に考えてくれているので、非常に楽しみです。
日本イーライリリー㈱ 安原さん:
弊社は内勤と営業では、同じ女性でも働き方が全く異なります。私がダイバーシティ推進も担当しているため、営業女性に対してダイバーシティの環境をいかに提供するかは、常に頭の片隅にありました。
それでいろいろと調べていた際、エイカレの存在を知り、ここまで営業女性にフォーカスした取り組みは今までになかったので、特別な取り組みとして非常に注目していました。
当初はクローズドだったため参加はかないませんでしたが、昨年2017年4月頃にすでに参加されている他社さんから声をかけていただき、立ち上げ企業以外も参加できると知って、問い合わせたのが経緯です。
日本郵便㈱ 谷合さん:
私たちは2016年度のエイカレサミット(2017年2月に実施)を傍聴させていただき、一緒に参加した営業担当者が、大賞をとった「なりキリンママ」の話を聞いて、営業女性たちであんなことができるんだ!と非常に感動したのが参加のきっかけです。
営業の人材を採用するにあたって、特に女性が集まりにくい悩みがあったので、エイカレサミットに出るなど社内外に明るいニュースを届けられるのであれば、ぜひチャレンジしてみようと参加させていただきました。
㈱ファミリーマート 中村さん:
弊社はダイバーシティ推進に本格的に取り組み始めたのが、昨年からなんです。
ここ数年、全体の3割は女性を採用するという目標でやってきていますが、採用しても若いうちに辞めてしまうというのが現実でした。業態的に店舗は24時間365日動いていることもあり、社内でも「女性にはスーパーバイザーは無理」という思いが非常に強くありました。
そんな中、偶然エイカレのことを知り、何か変化が起こせたらという思いで昨年から参加させていただいています。
日本イーライリリー㈱ 安原さん:
最も大きかったのは、参加したメンバーの学びですね。業界内でのワークショップなどはこれまでにもありましたが、業界を超えて営業職が集まる場に参加したのは初めてだったので、昨年のフォーラムが終わった後に参加メンバーが他業種の営業について理解を深め、「営業の仕方っていろいろあるんですね」とコメントしていたことが印象に残っています。
医療機関を訪問する弊社の営業が顧客に会える時間は非常に限られています。しかし他の業態の方は1回のアポで1時間会える。彼女らにとっては「1年分以上」の時間です。営業にもいろいろな形があり、自分たちがやっていることは当たり前ではないと気づけたのは大きな成果の1つです。
彼女たちの頑張りを社内にどう認知させていくか? という点で、事務局としてこまめに上司や支店長、役員にフィードバックを続けました。また、広報の協力で社内外に情報発信することで、社内のエイジョ認知度と、この取り組みに対する価値の理解を促進できました。エイジョに対する社内の協力体制が強固になり、現在にもつながっています。
弊社が行った2つの実証実験の内容が、エイカレ後に新しい取り組みとして営業全体に広がる結果となりました。タイムリーに社内に結果を共有していたので、理解を得やすかったのだと感じています。
実証実験の内容は以前から営業部門でも考えていたことでもありましたが、今回の参加メンバーが取り組んだ結果は営業成績を阻害するものではなく、効果的な働き方となり得ることをデータで示してくれたことが、大きな推進力になったと考えています。
日本郵便㈱ 谷合さん:
弊社からは、郵便局で金融の外回り営業をしている女性社員が参加させていただきました。郵便局は、制服での営業、テレワークもなし、個人顧客相手なので訪問中心と、みなさんの企業に比べ、さまざまな意味でIT化が進んでいない現状がありました。
弊社がチャレンジしたのが自宅近くのテレアポスポット設置。実際にやろうと思っても、大きな会社なのでシステム1つ変えるのにも時間がかかります。そこで彼女たちが考えたのが、既存施設を使うということ。自宅近くの郵便局で土日に仕事をして平日休むという方法でした。通常、セキュリティの関係上、郵便局の営業エリアを超えてサテライト的に仕事をすることはありません。まさに、社内に長くいる者からは絶対に出てこないアイデアでした。
それを聞いた事務局も、実は「そんなことできる?」と不安でした。それくらい社内的にはありえないことでしたが、社内の常識が世の中の非常識なのだと気づかせてもらいました。
実証実験でようやく他の企業に追いついたくらいのレベルだと思っていたので、1次選考を通過したときは驚きました。並み居るIT企業・大企業の中で評価されるはずはないと、無意識に事務局が思い込んでいたんですね。
だから、1次選考通過によって、実はエイジョたちより事務局やマネジメント層の意識が変わったと思います。外部からの評価は本当に大きいなと感じました。
エイカレでやったことは無駄にせず、社内誌「働き方見直しBOOK」に掲載して社員に配布しています。この会社でもいろいろなことができるんだ、
と郵便局の社員に希望を与えていきたいと考えています。
㈱ファミリーマート 中村さん:
弊社では、エイカレを真似させていただき、全社の取り組みとして実施しました。女性社員の数は1割強とはいえ600名以上います。このうち約半分、中堅の女性社員たちを対象に、部署ごとにチームを組んで「2〜3年後のありたい姿」や「それがなぜできないのか、課題は何なのか」などディスカッションを実施。全部で64チーム、ほぼ全社にあたる営業現場と本社の管理部門も含めをすべて巻き込む形で、その課題を解決するための実証実験を実施しました。
エイカレはいかに周囲を巻き込むかが大事ですよね。弊社の社内エイカレでは「女性だけが頑張っている」という構図にしないためにはどうすればいいのかを考え、
まず各チームの所属部長にメンターを依頼して巻き込みました。
経営陣には実験をするにあたって、1人あたり3チームに高い視座からのアドバイスをしていただきました。
1次審査も経営陣にしてもらうなど、全社で取り組んでいる、みんなでサポートしている雰囲気をいかに作り出すかを考えながら、全社で取り組んだのは良かったと思います。
社内エイカレ後、「こういう良いことは、女性だけでなく男性も一緒に取り組み、いろんなことを変えていくべき」という流れにつながっていきました。
実証実験に巻き込まれた男性や管理職・経営陣は、女性たちが持つ力を今まで以上に感じるキッカケになったのではと感じています。社内エイカレでの提案が具現化され、店舗に還元する事例も出ており、少しずつではありますが、変化につながっていると感じています。
日本イーライリリー㈱ 安原さん:
弊社もさまざまな手応えを感じ、今少しずつ実を結びつつあります。参加メンバーは関東圏から選抜したので、神戸本社からはリモートでのサポートが中心でしたが、彼女たちは実務に関連するいろいろな人を自主的に巻き込み、積極的に実証実験を進めてくれました。
私は上層部の人たちを巻き込むために、四半期に一度ある支店長会議で、エイジョの報告を定期的に行ない、取り組みへの理解を求めるとともに実験のサポートなどをお願いしていきました。実験の成果が徐々に出てきて、特に1次選考・2次選考と通過し、ファイナリストに残った報告をしたところ、「コレはすごい!」と支店長たちが驚く結果に。サミットには参加メンバーの所属する全支店長が見に来てくれて、「来年も絶対に続けよう」と盛り上がりました。
さらにサミット後、参加メンバーには報告を兼ねて、社長や事業本部長、30〜40人いる支店長の前で再度プレゼンをしてもらいました。社長からも「これは素晴らしい」というコメントをいただき、彼女たちの2つの提案のうち、フレキシブルな働き方に関するものは人事部で引き取ることになりました。現在、営業本部と一緒に人事制度のどこに手を入れるかを検討しています。
私たちからエイカレの情報を共有・協力依頼をすることはできますが、それを真剣に受け止めてくれ、それに報いるだけの成果を参加メンバーが出してくれました。この取り組みを通じて、支店長たちが開発育成にも役立つと感じてくださったのは非常に大きかったですね。
今回、過去の参加企業だけでなく、2018年のエイカレから新たに参加いただいた会社のうち、コニカミノルタジャパン㈱と、㈱富士通マーケティングの2社にも
インタビューし、なぜエイカレへの参加を決めたのか、どのようなことを期待しているかなど、率直に語っていただきました。
エイカレに参加を決めた理由:
変革のスピードが非常に早く進んでいる時代、我々の会社も変わっていかなければならないと自覚しています。
本当の変革を成し遂げるには、やはり「多様な意見」が必要ですが、そこに我々は課題を感じていました。そこでダイバーシティに関わるプロジェクトチームが立ち上がり、弊社は事業会社なので営業女子にフォーカスを当て、エイカレへの参加を決めました。
エイカレへの期待:
参加メンバーが外部の企業の方々と接し、彼女らが感じている課題は他社も同じなのかなど、実感してもらうことが1つ。
もう1つは、これまで変革できないと思っていたことを、実証実験を通して変革できる手応えを感じてもらうこと。
課題もその対処の仕方もさまざまありますが、必要なのは柔軟な思考です。
物事の本質を見極め、対応していくことに触れられる良い機会だと考えています。
これまではトップダウンの変革が多かったんですが、参加メンバーには自らさまざまな課題を見つけて取り組み、ボトムアップで提案してほしいですね。それによって変革していく実感が味わえると思うので、我々も全力でサポートし、エイカレへの参加を弊社の変革のキッカケにできればと思います。
エイカレへの期待:
今回参加するメンバーは、社内でも営業にプライドを持っている「デキる」女性たちです。
営業を続けていきたいけれど、今後のライフイベントを考えると、ずっと続けていけるか不安というのが共通の悩みです。「ロールモデルがいない」という話も聞きますが、私は彼女たちにロールモデルになっていってほしいと考えています。
もちろん事情は1人ひとり違うので、エイカレに参加してさまざまな企業の人から、働き方や営業スタイルを伺うことで、「いろいろなパターンがある」ということを知ってもらいたい。そのうえで「私はこういうロールモデルになれる」ということを掴んでもらえるといいなと考えています。
会社全体としては、性別や年齢に関わらず、さまざまなダイバーシティをやらなければならない状況になりつつあります。こういった全社の方向性の参考になるような姿を見せてほしいと期待しています。
弊社の社長は「タスク型のダイバーシティ」に非常に注力しています。
男女の属性や年齢ではなく、社員1人ひとりがどのような仕事を得意としているのかを受け入れ、上手く組み合わせることで全体の生産性を上げていきたいと話しています。
特に営業職は、これまで「1人で全部やるのが優秀な営業」というイメージでしたが、今後は変わってくるはずです。1人で全部やる時代から、時間の制約やライフイベントがあっても耐えられるような「分業体制」をもっと検討する必要があると考えています。
参加メンバーの中には、すでにライフイベントに当たって、仕事のやり方を少し変えたことで成果を上げている人もいます。でも、このパターンが全員に適用して上手くいくかというと、たぶんそうではありません。
女性のほうがコミュニケーション能力も柔軟性もあると感じており、さまざまなパターンを学ぶには女性の方がいいのではと思うので、エイカレは最適な場だと期待しています。
今回のエイカレでは、中央大学大学院戦略経営研究科 教授 ワーク・ライフ・バランス&多様性推進・研究プロジェクト プロジェクト代表の佐藤博樹氏が審査員として参加されます。
佐藤先生はエイカレの「営業の現場を変えることによって、日本社会を変える」というコンセプトに共感してくださっています。
エイカレサミット当日の審査員だけでなく、書類選考次には各社実証実験へのコメントもいただける予定です。
経営トップや人事、ダイバーシティ推進担当の取り組みは当然重要です。
佐藤先生はトップや人事関連担当者だけでなく、現場で働いている人たちが自分の職場がそれぞれ抱えている課題について考え、それを変えていくような仕事の仕方に変えていくことも、非常に大事だとおっしゃいます。まさにエイカレは現場からそういう取り組みをやっていこうとする場です。
2018年のエイカレは、7月のフォーラム部門、8月の異業種交流提言プログラム部門のキックオフを経て、実証実験などのフェーズに入っています。
1次選考・2次選考を経て、最終プレゼンは2019年2月15日に開催予定の「エイカレサミット」にて実施します。
来期参加ご希望企業を対象としたサミット参加席を設ける予定ですので、希望される企業のご担当者様は、ぜひお問い合わせください。
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