7月7~8日、2016年度の新世代エイジョカレッジ・フォーラム~異業種女性営業活躍推進プロジェクト~が開催されました。
過去の2年度は、7社30名程度が「営業職で女性が活躍するには」というテーマに半年間向き合いましたが、今年は20社で200名に拡大。全体をまとめあげるファシリテーターは、過去2年間もエイカレの企画・講師を務めてきたチェンジウェーブの佐々木裕子代表。4人ずつのテーブルが48個も並ぶ
圧巻の会場で、まずは「エイジョの本音」と題してスマホを利用したアンケートが実施されました。
こうした結果を踏まえてグループでモヤモヤを共有してもらうと、「長時間労働でライフイベント後も続けられるのか不安」「上司が忙しそうで自分を重ねられない」といった意見が出てきます。これを踏まえ、次のセッションではくじ引きで参加者の中から選ばれた2人と、過去のエイカレ参加者とのパネルディスカッションをしました。
今年の参加者の発言に対して、過去の参加者は「私たちも同じような議論をした」と言います。1年前に「管理職になりたくないと言っていた」にもかかわらず、課長、部長代理に昇格し、でも、どこかすっきりとした表情の過去エイジョたち。何が変わったのかという質問に対し課長になったエイジョは「課長はこうじゃなきゃいけないというのを自分で作っていたんですね。でも今水曜日に在宅勤務するなど、自分なりの課長というのを作ってみてもいいかなと思っています」。
「なんであたしたちこんなにモヤモヤしてるんだろう」ということを本気で考え、とことん議論をしたことも大きかったとのこと。3人の子育てをしながら営業をする過去の参加者には、今年の参加者ワーキングマザーから「家庭も仕事も中途半端になってしまう」と相談も。専業主婦だった自分の母親と比べてしまうことについて「自分の生い立ちからグループのメンバーと語り合ってみんなして私の母の立場になって考えてみたりして、敬意を払おうと思うようになった」など気の持ちようや工夫の仕方に対するアドバイスがありました。
過去の参加者たちは、エイカレで出会った仲間と今も温泉に行ったり、定期的に連絡を取っているといいます。「周囲が男性ばかりの職場にいて、当時は営業は楽しいけど未来は真っ暗という状態。先のイメージを描けないのがモヤモヤの原因でした」と話す2期生。「でも、かっこいい営業の女性とたくさん話ができて、自分も道を切り開いてかっこいいと思ってもらいたいと思うようになりました」というケースも。
「違う世代が同じグループにいることで自分より過去を振り返ることにもなるし、同じ世代で子育てしている人と刺激し合うこともできた」「大人でこういう出会いってあんまりない。自分でさらけ出すのって大人になるとあまりやらないじゃないですか。仮面を取ってもいいと思える仲間を得られたことがすごく大事な経験」との発言を受け、今年の参加者たちにも徐々に自分をさらけ出してみようという空気が醸成されはじめます。
過去のエイカレ参加者たちが発表した内容の一部(2014年度ワーマノミクスチーム)は、実際にある会社で労働生産性指標が営業拠点の評価指標に組み込まれるなどの変革につながっています。エイカレ実施後に妊娠・出産し、営業現場で復職した参加者たちも。こうした過去の発表、過去の参加者の変革ストーリーを聞いたうえで、5年後にありたい姿をスケッチブックに描いてみます。
次のセッションでは、「ありたい姿」と現実のギャップはどこにあるのか、変えられる可能性はないかということを議論しました。
「時間の制約がつきまとう」「当事者になってみないと会社の制度を知らない」などの理由で本当に続けられるのかというところで不安が大きいことをあげたグループでは「まずは会社の制度を知ることが大事」「出世したときのメリットを教えてもらっていないので、描けるような形になるといい」などの声があがりました。
「第一線で営業で活躍している」「お付き合いしている彼より稼いでいる」「結婚しても養っていきたい、頑張っていきたい」というバリバリエイジョが集まったグループも。「プライドが邪魔して子どもを作る選択に勇気がわかない」「休むことがキャリアオフになるのでは」という固定概念が強く「時短勤務も選べるけど、選んだことによって次のキャリアにどう影響するのか、その立場にたったら選べるのだろうが想像すると勇気が出ない」と言います。本当になりたいのは「子どももいて役員になり産休、時短を取る時期もあってもバリバリやりたい」という姿。それに向けて「半ば強制的にお尻を決めて、それに向けてやれば優先順位をつけられると思う」「時間なくても結構いける!という証明をしたい」「戻ってきたときに、必要な人材になる」などの打ち手を考えていました。
「管理職になって責任を負う決心はつかないが 後輩のモデルになりたい、後輩や同期には負けたくない」というグループも。モデルになるような管理職がいたらいい、自分たちの覚悟もたりないという発言がありました。
管理職になるイメージが沸かない、出世してどんないいことがあるのかわからないというエイジョたちに、エイジョから役員まで経験したゲスト大隅聖子さん(永谷園 研究・開発本部健康食品事業部長)からの講演が刺さります。「営業力とはやりたいことを口にして、変えたいことをこう変えたいと言って、皆がついてくるように説得する力」「ライフイベントは40歳を超えて振り返ったら点のようなもの」とメッセージをいただきました。
2日目は、2期生が考案した「ライフキャリアデザインシート」を記入するワークショップが開かれました。
2期生のCチーム(2015年度エイジョ白書)が提案したのは、自分、夫・子ども(これからのひとは想像)、親の年齢をプロットし、ライフイベントとその時に会社にいられる時間、キャリアを記入できるライフキャリアデザインシート。
考案したグループがその経緯やシートによって何が見えるのか、シートの使い方などを説明し、全体を取り仕切ってプログラムを進めてくれました。
いざ書いてみると、親の年齢にぎょっとして介護が身に迫って感じたり、子どもを2人ほしければ今すぐ結婚相手を見つけないといけないということなどに気づく参加者たち。子どもはほしいと漠然と考えつつも、具体的な制度や保育園が何時までやっているかすら知らなかったという人も多かったようで、陪席している人事担当者を呼ぶグループも散見されました。
ライフイベントを考えれば、時間が今よりも短くなったとしても必要とされる人材になるためのスキルアップや覚悟が必要だと感じた人も多かったようです。Cチームからは「パートナーや上司と共有してほしい」「ぜひ情報収集をつづけて」とのアドバイスがありました。
最後に明日からできること、エイカレの感想をスケッチブックに書いてライフキャリアデザインワークショップが終了しました。
エイジョたちが描いたライフキャリアデザインシートを見ると、「子育てがひと段落して、会社にいられる時間を再び延ばすことができる」地点と、「キャリアアップをする」という地点をほぼ同一に描いているケースが非常に多かったです。
ある参加者は「リモートワークなども整っているので、グループリーダーまでなら育児中でも上がっていける。でも、マネージャーは絶対に早く帰ることはできない。私は家庭を犠牲にしたくないので、グループリーダー止まりでそれ以上は上がりたくないです」と言っていました。
人によって「子育てがひと段落する時期」のイメージに差はあれど、改めて女性自身の中にも強く刻まれているのが「管理職になったら長時間労働をしないといけない」「育児期の制約された時間内で成果を上げるのは難しい」という固定概念なのかもしれません。
果たしてこれは固定概念なのか、それとも変えることができない事実なのか。2016年度エイジョカレッジは、この後、「労働生産性を上げる」というテーマに向かい合う「実証実験」プログラムに入ります。
労働生産性を上げる実証実験に参加するのは15社、32チーム。2017年2月のサミットでインパクトの大きさ、創造性や汎用性などが評価されて優秀企業はエイジョアワードを授与されます。
フォーラムでは、まずは、自分自身の1週間の何に時間をかけているかを洗い出した時間割シートを持ち寄り、同じ時間でもっと成果を上げる、より短い時間で同じ成果を上げることはできないかを議論しました。
その後、「バディチーム」という別企業のグループと意見交換をし、実験内容のプランを立てます。優秀なバディにはバディ賞が授与されるということもあり、真剣にアドバイスしあう参加者たち。時間割シートを見つめて「この時間を有効利用できないか」「本当にここは自分でやる必要あるの?」などと自社では当たり前と思っている点を指摘されたり、「うちの会社ではこうしている」というアイデアをバディチームにもらったりして刺激を受ける様子も見られました。
最後は実証実験の意気込みを掲げて終了しました。2017年2月のサミットでお会いしましょう!
文責=新世代エイジョカレッジ実行委員会(チェンジウェーブ 中野円佳)