営業職を続けるためには、お客様に使う時間の確保が肝。でも、働く母親はとにかく時間がない…。メンバーが1日のスケジュールを書き出してみると、移動時間を効率化することができるのではないかと気づいた。そこで、オフィスとお客様先、自宅などの移動時間を短縮するため、社内会議や資料作成ができる「どこでもオフィス」を提案。7社の拠点を共同で使える想定でスケジュールを見直してみると、長いケースで1日2時間程度の削減ができることが分かった。
※ 2015年夏に期間限定で実現
営業を続けることを自ら選ぶ女性が増えることを目指し、10年後の営業定着率が男女同じ割合になっていることをKPIと置く。会社には経験を積んだ営業の離職率低下や、女性管理職登用目標の達成というメリットがある。現状では、入社10年で営業女性は離職やスタッフ部門への異動で10分の1に減っている。仕事が合わないなどの入社~3年の「第一の壁」に加え、ライフイベントを迎える4~10年目が「第二の壁」として立ちはだかる。この層へのヒアリングをすると、営業を続けたいが今の働き方では不安である「やる気はあるけど不安ガール」が非常に多いことが分かる。この女性たちが営業を続けるためには、1日13時間にも及ぶ労働時間を削減することが必要。長時間労働の要因にはお客様と接し、営業として業績を上げる上で必要な要因と業績に結びつかない要因(習慣、残業代取得、帰宅避難、付き合い、スキル不足)があり、労働時間と業績達成率に必ずしも相関はない。そこで、①マネジメント層の人事評価制度に労働時間削減項目を追加する、②業務効率を改善する取り組みをマネージメントとメンバーで話し合って決め、改善をする、③売り上げ目標達成率と総労働時間目標達成率をかけあわせた好成績者を表彰するという提案をする。
関西チーム。支社配属の社員は、成長が実感できていない、会社から注目されていないと感じており、「前向きに営業職を続けたい」と感じている女性は本社の50%に対して、支社では10%と低いことが分かった。支社でも誇りをもって働き続けることができ、東京こそが勝ち組という価値観を打破するために、「姉妹営業部」を導入する。1年間の期限付きで本社でしか経験できない業務やロールモデルのいる部署に「交換留学」し、マネージャー、女性社員双方の意識改革を図る。
顧客満足度は女性の方が高い、男性にはない消費者目線の提案ができる、お客様も女性が増えているというデータがある。にもかかわらず、女性は30代で出産を機に異動するか。出産・育児を視野に入れて異動するなどの形で50%が営業から流出している。これを打破し30代の営業男女比率が同率となる世界を目指す。営業現場でインタビューをすると、両立問題を「本人の頑張り次第」として組織として解決しようとしていない実態が浮かび上がる。一方、営業と育児を両立している女性たちに秘訣を聞くと、共通点として、①誰かに頼れるセーフティネット、②本人に伝える・交渉する力、③産んで戻ってこいという応援の3つがあることが分かった。そこで、①としてペア制を可能にする仕組み、②として「あけっぴろげ面談」、③として7社が会社として女性がずっと営業を続けられる組織を目指すとのビジョンを宣言すること提言する。
営業女性管理職20%の世界を目指す。データが取れる6社の計60人にインタビューした結果、管理職まで営業を続けているのは5%にとどまり、80%は20代に営業だった女性が30代に営業以外に異動し、営業以外の部署で管理職につくキャリアを進んでいる。営業管理職にたどり着かない理由は長時間労働や接待など、営業組織でパフォーマンスを上げるための働き方が画一的で「続ける自信がない」、「管理職に魅力を感じない」こと。そこで、組織長の評価項目に、営業の予算達成に加え、働き方革新のプロセスやメンバーやクライアントの満足度を図るダイバーシティ加点を加えた「Career Star Index」を導入し、社内で表彰したり、発信することを提案する。